2013年12月21日

【平成26年度税制改正に関する建議書】

■Ⅱ 税制改正建議項目■

【所得税】
[1 所得区分を見直すこと。]
(1) 公的年金等は、今後、年金受給者の数が増加することで、今まで以上に課税の公平性や納税手続の簡便性を図ることが要請される。公的年金等は、独立した所得区分とすることが妥当である。
(2) 不動産所得と事業所得の区分は、両者とも労務の提供、リスクの負担などにおいて変わるところはない。不動産所得を事業所得に統合すべきである。
(3) 一時所得と雑所得は、特別控除の有無、2分の1課税の適用の有無という課税上の取扱いが大きく異なっている。したがって、雑所得のうち事業類似取引は事業所得とし、一定の措置を講じた上で一時所得を雑所得に統合すべきである。
[2 所得控除を整理・簡素化すること。]
世帯の類型や就労形態等が大幅に変化・多様化してきており、実態に対応しきれていないので、課税最低限を確保しつつ、時代に対応した人的控除制度に組み替える必要があり、医療費控除及び人的控除以外の所得
控除についても、整理・簡素化することが必要である。あわせて、所得税と個人住民税の間に差異がある現行制度の所得控除についても、所得税の所得控除に一致させるべきである。
[3 給与所得者に対する課税について、抜本的に見直すこと。]
(1)申告納税方式を原則とするわが国税制下での年末調整制度は、納税者の大半が自ら申告納税をする機会を得ておらず、納税者としての意識を低下させる結果にもなっている。したがって、番号制度の導入も踏まえつつ、年末調整制度を廃止又は少なくとも選択制とし、原則として申告納税方式にすべきである。
(2)給与所得控除のあり方をさらに見直し、概算控除額を実額控除額に近づけ、他の所得との公平を図るべきである。
[4 公的年金に対する課税を抜本的に見直すこと。]
例えば、遺族厚生年金、遺族基礎年金は所得税及び相続税が非課税となっており、老齢基礎年金及び老齢厚生年金は所得税及び住民税が課されることはいずれも受給権を有する者の生活の安定を図る目的で受給されるものであり、受給による担税力に相違はない。したがって、公的年金に対する課税のあり方を抜本的に見直すべきである。
[5 生計を一にする親族が、事業から対価を受ける場合の必要経費の特例の規定は、適正な契約、適切な記帳が行われている場合には必要経費として控除を認めること。]
生計を一にする親族に支払う対価が適正な契約に基づき、金額並びに支払方法及び支払時期が適切であり、かつ、青色申告により記帳が適切に行われている場合には、所得税の本則通り事業等の必要経費として控除することを認めるべきである。なお、恣意的な所得分散による租税回避を防止する方策として、申告書に関連する明細書の添付を義務付けること等が考えられる。
[6 土地建物等の譲渡損益は、他の所得との損益通算を認めること。]
平成16年度の改正により土地建物等の譲渡損益の他の所得との損益通算及び譲渡損失の繰越控除制度が廃止されたため、担税力を失った部分にも課税することになってしまったことは、税制の基本である「応能負担原則」に著しく反している。
さらに、事業運営不振を補てんするため等の遊休不動産の売却による流動化が阻害され、経済活性化への一層の足かせとなっている。
したがって、土地建物等の譲渡損益は、他の所得との損益通算を認めるべきである。
[7 社会保険診療報酬の所得計算の特例に関する制度を廃止すること。]
記帳に基づく収支計算によるべき所得税における所得計算制度の趣旨に反して特例の適用と実額計算を比較し、有利な方を選択するということも可能になってしまう。したがって、税負担の公平の観点から廃止されるべきである。
[8 準確定申告書及び相続により事業継承した場合の青色申告承認申請書の提出期限を延長すること。]
準確定申告書及び相続により事業を継承した場合の青色申告承認申請書の提出期限については、納税者の事務負担を考慮し、相続税の申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内)に合わせるべ
きである。
[9 青色申告者の純損失の繰越控除期間等を延長すること。]
青色申告者の純損失の繰越控除期間を少なくとも5年に延長すべきである。また、上場株式等の譲渡損失の繰越控除期間も併せて延長すべきである。
[10 給与所得者等についてその支払者が行った源泉徴収税額が過大又は不足している場合には、受給者において確定申告により課税関係が確定されるようにすること。]
支払者において源泉徴収された税額が誤っている場合であっても、受給者の確定申告により課税関係を完結するよう法の整備をすべきである。なお、その場合においても、源泉徴収制度を形骸化させないためにも、誤徴収をした支払者に対する課税処分は必要である。

【法人税】
[13 損金算入規定等について見直すこと。]
(1)役員給与
役員給与は、原則として損金の額に算入されることを法人税法において明確にした上で、損金の額に算入されない役員給与について、
(2)退職給付引当金・賞与引当金
労働協約や就業規則等により退職金や賞与の支給が明確に規定されている法人については、退職給与引当金及び賞与引当金の繰入れについて損金算入を認めるべきである。
(3)交際費等
社会通念上必要とされる慶弔費等は交際費課税の対象外とし、損金の額に算入されるべきである。

【消費税】
[15 基準期間制度を廃止し、すべての事業者を課税事業者として取り扱い、新たに小規模事業者に対する申告不要制度を創設すること。]
免税事業者が多額の設備投資を行い、消費税の還付を受けようとする場合、届出書の事前提出を行わなかったために、消費税の還付を受けられなくなった事例は少なくない弊害を解消するために、納税義務を判定するための基準期間制度を廃止して、すべての事業者を課税事業者として取り扱うこととし、その上で、その課税期間の課税売上高が1000万円以下の小規模事業者には、申告・納付を不要とする申告不要制度を創設すべきである。
[16 簡易課税制度の選択を確定申告時にできる制度にするとともに、事業区分及びみなし仕入れ率を見直し、設備投資に対する別枠での控除を認めること。]
新たに課税事業者となった小規模事業者については届出を失念し、本来適用が必要な事業者が受けられない場合が多い。したがって、確定申告書の提出時に簡易課税制度を選択できる制度とするよう改正すべきである。また、みなし仕入れ率については現行より低い設定とするよう見直すことにより、簡易課税制度が納税事務負担の軽減措置であることを明確にすべきである。ただし、一定額以上の設備投資についてはみなし仕入れ率とは別枠での控除を認めるべきである。
[17 仕入税額控除の要件とされている帳簿の記載要件を見直すこと。]
記帳実務の態や事負担に配慮して、 記帳実務の態や事負担に配慮して、 法令上 の帳簿記載 要件を 見直
すべきである。
[18 各種特例を選択した場合の2年間継続適用の規定を廃止すること。]
帳簿等の要件が整備されていることを条件に、①一括比例配分方式を選択した場合、②簡易課税制度を選択した場合、及び③課税期間の短縮を選択した場合の2年間の継続適用の要件は廃止すべきである。
[19 消費税の確定申告期限の延長制度を設けること。]
法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例を受けている法人の消費税の申告期限は、利子税の納付を要件として、法人税と同じく課税期間の末日の翌日から3月以内とすべきである。

【相続税・贈与税】
[21 取引相場のない株式等の評価の適正化を図ること。]
取引相場のない株式等の評価については、
①相続開始前3年以内に取得した土地等と建物等についても通常の評価とすること、
②評価会社が退職給付債務を負っている場合は、一定額を負債とすること、
③土地保有特定会社 等の特殊な評価方法を見直すこと の特殊な評価方法を見直すことが必要である。

【地方税】
[22 少額所得者(公的年金等の収入が400万円以下で、かつ、その他の所得金額が20万円以下である者等)については、所得税と同様個人住民税においても申告不要とする制度を創設すること。]
納税者の便宜、公平性の確保、徴税コスト削減などの観点から個人住民税においても所得税と同様に申告不要制度を創設すべきである。
[23 個人事業税の事業主控除を適正な額まで引き上げ、課税の公平の観点から対象事業を見直すこと。]
農業、林業及び鉱物の掘採事業には課税されていない現行制度では、非課税事業の範囲や課税標準に関する社会保険診療報酬等の非課税特例(法人においても同様な特例措置がある)などについて、そのあり方を見直す必要がある。
なお、事業主控除額(現行年290万円)は、中小法人の役員給与の水準を踏まえて、一定程度の引上げを行うべきである。
[24 事業所税を廃止すること。]
事業所税の課税標準である床面積(資産割)は固定資産税及び都市計画税との、従業員割(給与総額)は法人事業税の外形標準課税との二重課税となっており、多くの市町村合併の結果、中小企業等に予定外の税負担を課すこととなった事例も多いため、事業所税は廃止すべきである。

【複数税目共通】
[25 復興特別所得税は所得税率を見直すことにより財源を確保した上で、所得税に吸収し、その一部を復興特別所得税とみなして復興の財源にすること。]
[26 各種届出書及び承認申請書の提出期限を見直すこと。]
各種の承認申請書及び届出書の提出期限は、定時株主総会を経由した後の法人税の確定申告書の提出期限とすることが適切である。
[27 少額減価償却資産の取得価額基準を引き上げること。]
税制の簡素化の観点から、少額減価償却資産の損金算入制度における取得価額基準は10万円未満とされ、20万円未満の減価償却資産については3年間にわたって損金算入を行う一括償却資産制度と中小企業者に対しては、平成26年3月までの間、年間の損金算入金額の上限を300万円として取得価額30万円未満の減価償却資産につき取得時に全額損金算入する制度を統合して少額減価償却資産の取得価額基準を30万円未満とすべきである。
[28 同族関係者・特別関係者の範囲を個別に規定し、親族の範囲を明確にすることにより、実態に即した課税要件を定めること。]
例えば、取引相場のない株式等の評価に際しての同族関係者の範囲は、配偶者、直系血族兄弟姉妹及び 配偶者、直系血族兄弟姉妹及び 配偶者、直系血族兄弟姉妹及び 配偶者、直系血族兄弟姉妹及び 配偶者、直系血族兄弟姉妹及び 1親等姻族程度が妥当な範囲である。

【納税環境整備・その他】
[29 社会保障・税番号制度は当面、社会保障分野、税務分野及び災害対策分野の限定的な利用とすること。]
利用範囲については、当分の間、社会保障分野、税務分野及び災害対策分野の限定的な利用とすべきであり、法人番号についての民間利用は慎重に対応すべきである。運用3年後に目途に情報保護委員会の整備体制等について検証し公表すべきである。
社会保障・税番号制度は、わが国の租税申告の理念である申告納税制度を補完すべきものとして活用すべきである。
[30 国税不服審査制度の見直しについて検討すること。]
特に、行政不服審査法の特別法である国税通則法における事後救済手続に関する規定に関しては、一般法である改正行政不服審査法で定める手続と同等又はそれ以上の水準の内容とするための整備充実が必要である。
[31 印紙税のあり方について検討すること。]
同じ経済取引であっても電子商等についは課税されな手段の選択により課税関係が異なることは公平阻害されなり、時代に合わせて課税文書の範囲を縮減するなど印紙税のあり方について検討すべきである。
[32 電子申告・電子納税の環境を一層整備すること。]
早急に、すべての地方公共団体においてeLTAXの導入を図るべきである。納税者に今後、一層の電子申告の普及を図るには、e-Tax(国税)とeLTAX(地方税)の統一的な運用を行うとともに、受付時間の拡大を図る必要がある。

【国際税制】
[33 外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度について、持株要件を緩和すること。]
本規定の適用を受けるためには、外国子会社の発行済み株式を25%以上保有することを要件としているが、外国子会社が所在する国によっては、出資制限があり、株式保有要件を満たせない場合がある。したがって、出資制限や外国子会社株式の保有期間等を加味して、適用要件を緩和すべきである。

【震災対応税制】
[34 税制に関する災害基本法を制定すること。]
東日本大震災のような大規模かつ広域にわたる災害の経験を踏まえ、災害の予防、応急対策及び災害復旧の各段階における基本的な税制上の支援措置を体系的に明確にすべきである。
[35 震災特例法の追加措置を行うこと。]
(1) 災害損失控除の創設 災害損失控除の創設
雑損控除から災害による失を独立させて創設すべ 雑損控除から災害による失を独立させて創設すべ きである。 その際には、所得控除中おける順序ついても 考慮することが必要であ。
なお、 避難のため移転やそれに伴う災害関連費用 の支出について も災害損失控除の対象とするこが適当であ。
(2) 原子力損害賠償制度による失と収入 原子力損害賠償制度による失と収入 原子力損害賠償制度による失と収入 原子力損害賠償制度による失と収入 の平準化等 平準化等 の措置
損失と収入を対応させるための措 置や所得平準化損失と収入を対応させるための措 置や所得平準化置を講ずる ことが必要であ。
【総 評】
前回に引き続き、日本税理士会連合会が取りまとめた平成26年度税制改正に関する建議書について取り上げたのは、今年12月に提出される自民党政権下での平成26年度税制改正にどこまでこの建議書が取り込まれているかの確認の意味での意図からです。
特に同意を示したのが、下記事項です。
[23 個人事業税の対象事業を拡充し、併せて事業主控除の金額を引き上げること。]
農業、林業及び鉱物の掘採事業には課税されていない現行制度では、非
課税事業の範囲や課税標準に関する社会保険診療報酬等の非課税特例(法人においても同様な特例措置がある)などについて、そのあり方を見直す必要がある。
なお、事業主控除額(現行年290万円)は、中小法人の役員給与の水準を踏まえて、一定程度の引上げを行うべきである。
事業税の課税対象外を設けるのは良くないと捉えました。
しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
posted by 7に縁がある税理士 at 11:52| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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