2019年05月29日

令和1年 税務相談室に寄せられた相談事例

■相談事例Q&A■

<<法人税>>
リース資産の消費税の仕入税額控除の時期
【質問】
 6 月決算法人の中小企業Aですが、30 年 6 月にリース資産の引き渡しを受け 6 月分リース料を支払いました。事業の用に供したのは 7 月(翌期)です。
消費税の仕入税額控除は事業の用に供した翌期に行うのでしょうか。
【回答】
 原則として、当該資産の引き渡しを受けた事業年度にその全額を仕入控除 することになります。
なお、中小企業の特例として、リース賃料を賃借料処理している場合に は、消費税の仕入税額控除はリース賃料を支払うべき日の属する事業年度 で分割控除することも認められています。

リース資産の減価償却費の計上時期
【質問】
 6 月決算法人の中小企業Aですが、リース期間定額法で償却費を計上する場合と、リース賃料を償却費とする場合の税務上の処理はどうなります か。
【回答】
リース期間定額法で償却費を計上する場合には、当期においては未だ事業の用に供していませんので減価償却費の計上はできません。
当期に支払ったリース賃料を損金処理すると、その額は償却超過額となります。
ただし大会社等はリース賃料の総額が 300 万円を超える場合は、リース会計基準により賃借料処理は認められていません。

 リース資産の据付費の取り扱い
【質問】
 機械をリースして、その据付費は別に支払いました。この据付費はリース 資産の取得費となるのでしょうか。それとも繰延資産になるのでしょう か。
【回答】
 1 機械のリースが税務上のリース取引に該当する場合 据付費はリース資産の取得費となります。 据付費部分について一括損金計上したとき
  は償却費として損金経理した ものとされ、償却超過額となります。
 2 機械のリースが税務上のリース取引に該当しない場合 リース資産の据付費は、資産を貸借するための権利金等に該当し、繰延 資産として
  扱うことになります。

<<所得税>>
 開業前の借入金の利子の取り扱い
【質問】
 個人の医者が、病院を開業するに当たって土地建物を取得します。
 この土地と建物の購入資金は、ほとんど借入金です。開業前の借入金利子 を「開業費」として繰延資産に計上することは可能ですか。
【回答】
 開業前の固定資産取得のための借入金の利子等は当該固定資産の取得価格 に算入します。
 また、建物の減価償却は、竣工した時からではなく、医院としての事業開 始時より行うこととなります。

 相続人全員が相続放棄した場合の準確定申告
【質問】
 相続人全員が相続放棄した場合、誰が準確定申告をしなければならないの ですか。それとも相続財産法人の残余財産はいずれ国庫に帰属す
 ることから申告しなくてもよいのですか。
【回答】
 所得税法上、相続人には包括受遺者も含むものとされているため、たとえ相続人がいない場合でも包括受遺者がいれば、そのものが確定申告
 書を提出することとなります。
 民法上の相続人も包括受遺者もいない場合には、相続財産は、「相続財産法人」となり、選任された相続財産法人の管理人が相続財産の管理を
 行い ますが、この相続財産法人に関しては所得税法上何ら規定がありません。
 納付義務の履行については、申告納税方式を原則とする所得税について、相続財産法人が準確定申告する義務もあることになります。
 その場合の申告期限については、管理人が確定した日(家庭裁判所から管理人に通知された日)の翌日から 4 カ月を経過した日の前日までに行
 うこととなると思われます。 国庫への帰属よりも国税の納税義務の履行が先順位となります。

 賃貸人が支払った立退料
【質問】
 不動産の賃貸を行っている個人ですが、この賃貸している土地、建物を譲渡することとなり、入居者を立ち退かせるために立退料を支払いま
 した。
 支払った立退料は不動産所得の必要経費として控除してよいでしょうか。
【回答】
 1 建物の譲渡に際し支払う立退料・・・譲渡費用
 2 土地を譲渡するために建物を取り壊し、その取り壊しに際し支払う立退料・・・土地の譲渡費用
 3 賃貸中の建物の貸借人に支払う立退料 1,2以外の不動産所得の基因となっていた建物の貸借人に支払うも の・・・不動産所得の必要
  経費

<<相続税>>
 相続時精算課税制度による贈与と相続税の申告義務
【質問】
 私は、A 資産の贈与を受けた時、相続時精算課税によって申告しました。 今般その贈与者がなくなりました。遺産総額は基礎控除額未満で
 す。相続税の申告は必要ですか。
【回答】
 相続時精算課税の贈与税額があれば還付申告ができます。

 指定受取人以外の者が死亡保険金を受け取った場合
【質問】
 保険金の保険契約者で保険料を負担していた父親が死亡しました。 保険契約上の受取人は息子(19 歳)ですが、実際は母親が受け取っていま  
 す。 母親を保険金受取人として申告すれば、「配偶者の税額軽減」で相続税額は ゼロとなりますがそれでよいですか。
【回答】
 母親が受取人であるとして、「配偶者の税額軽減」を適用することは難しい でしょう。

 相続税の延納申請の承継手続
【質問】
 被相続人に引き続いて申告期限内に相続人(長男)が死亡しました。相続税 の延納申請の承継手続きをしたいのですが、どのような書式になり
 ます か。
【回答】
 相続人の相続人は国税通則法の規定により、相続人の納税義務など税法上 の地位を継承します。 相続人(長男)の相続税申告書の第 1 表の付表
 1(納税義務等の承継に係る明 細書)により承継する延納金額を記載し、延納申請をすればよいものと考 えます。

 遺産分割のやり直しと相続税申告の要否
【質問】
 13 年前に亡くなった母の遺産である不動産について、単独名義の方が管理 上便利であるとの説明を受け、すべて弟(四男)の名義に変更しまし
 た。 我々兄弟 3 人(長男、次男、三男)は、母の遺産の全部を弟が相続すること を認めたわけではありませんでした。相続をやり直すことは可
 能ですか。 相続税に時効はありますか。
【回答】
 相続税には更正決定の除斥期間(いわゆる課税の時効)がありますので、13 年も以前の相続税については今になって弟さんに課税されることは
 ありません。
 ただし、遺産分割のやり直しについては、贈与税が課税になることがあり ますのでご注意ください。

 生命保険契約に関する権利の評価
【質問】
 亡くなった父が契約者(保険料負担者)で、私を被保険者とする生命保険を 契約していました。その生命保険契約の評価について、保険会社に
 照会したところ剰余金の分配等も含まれていました。これも加えて相続財産とするのでしょうか。
【回答】
 生命保険契約に関する権利の計上には、剰余金の分配も含めることとされ ています。

 空屋にしていた土地家屋の小規模宅地の特例の適用の可否
【質問】
 父は娘夫婦の建てた二所帯住宅に平成 19 年から住んでいましたが、平成 20 年 3 月に死亡しました。父が平成 18 年まで住んでいた
 父の土地家屋は 空き家になっていました。相続税の計算上、父の土地は小規模宅地の特例 により 50%減額ができますか。
【回答】
 父の土地家屋は相続の開始の「直前」において父が居住していないので、特例による 50%減額の適用はできないと思われます。

 生計を一にする親族等がいない場合の小規模宅地の特例
【質問】
 相続人の中に配偶者や生計を一にする居住親族がいない場合、自己の土地 家屋を所有していないものが相続した時は小規模宅地の特例の適
 用が可能ですか。
【回答】
 その相続人が、相続開始前 3 年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有にかかる家屋に居住したことがなく、かつ、相続開始時か
 ら申告期限まで引き続きその家屋を所有していれば、特定居住用宅地としての特例適用は可能です。

 期限後申告をした場合の小規模宅地の特例
【質問】
 期限後申告でも、遺産分割が整っていれば、小規模宅地の特例を受けられますか。
【回答】
 相続人についての規定にかなっていれば、小規模宅地の特例を受ける旨を 記載した計算明細書及び、省令で定める書類(戸籍謄本・遺言書の
 写し・ 遺産分割協議書の写し・住民票の写し・戸籍の付表の写し・相続開始前 3 年以内に居住していた家屋がその者又はその者の配偶者の
 ものでないこと が分かる資料等)の添付があれば可能です。

 夫婦間での現金の贈与
【質問】
 妻が夫から 2000 万円の現金贈与を受け、そのまま何もしないで、無税になることがあるのでしょうか。
【回答】
 贈与税の配偶者控除額は 2000 万円ですが、婚姻期間が 20 年以上であること、居住用不動産の取得とその家屋に居住すること、申告書を提出
 することが要件です。
 相続時精算課税制度では配偶者は受贈者の範囲から除外されています。贈与税の基礎控除額は 110 万円ですから、現金の贈与を受け手続きも
 しないで無税になることはありません。

 離婚による財産分与の限度額
【質問】
 離婚により妻が夫から財産分与として居宅(一般的な規模)を取得しましたが、贈与税が課税されない財産分与の限度額はあるのでしょうか。 【回答】
 財産分与額について、特に定められた限度額はありません。


【総 評】
 今回は税務相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見落 としやすい論点を再確認していただきたい意図からです。 特に
 相続における小規模宅地の特例、贈与等は注意が必要です。
 しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
posted by 7に縁がある税理士 at 17:17| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

「平成 31 年度税制改正大綱」~第二 平成 31 年度税制改正の具体的内容 ~

第二 平成 31 年度税制改正の具体的内容

五 国際課税
1 過大支払利子税制の見直し
2 移転価格税制の見直し
3 外国子会社合算税制の見直し
4 平成 32 年(令和 2 年)に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会に参加等をする非居住者及び外国法人に係る課
 税の特例の創設
5 台湾との間での金融口座情報の自動的な提供のための報告制度等の整備
6 その他

六 納税環境整備
1 番号が付された証券口座情報の効率的な利用に係る措置
2 情報照会手続の整備
3 eLTAX 障害発生時の申告等に係る期限延長
4 大法人の電子申告の義務化に伴う所要の措置
5 その他

七 関税
1 暫定税率の適用期限の延長等
2 個別品目の関税率等の見直し
3 その他

第三 検討事項

1 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する 中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公
 的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度間のバラ ンス、貯蓄・投資商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留
 意するとともに、平成 30 年度税制改正の公的年金等控除の見直しの考え方や年金制度改革の方向性も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて
 課税のあり方を総合的に検討する。


【総 評】
今回は平成 31 年度税制改正大綱に関して、検証していきました。
ここまで平成 31 年度税制改正に関して記載してきましたが、今後は会計税務コラム 等を記載していきますので御期待下さい。
posted by 7に縁がある税理士 at 16:48| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

「平成 31 年度税制改正 大綱」~第二 平成 31 年度税制改正の具体的内容~

第二 平成 31 年度税制改正の具体的内容

四 消費課税
1 車体課税等の見直し
(地方税)
<自動車税環境性能割>
(4) 平成 31 年 10 月 1 日に導入される環境性能割について、次の見直しを行う。
 ① 環境性能に応じた非課税又は 1 %若しくは 2 %の税率(営業用自動車にあっては 、 非課税又は 0.5 %若しくは 1 %の税率)の適用区分につい
  て、次の見直しを行う。
 ロ 乗用車
  (1) 自家用乗用車に係る燃費性能に関する要件を次のとおりとする。
            現 行             改正案
        平成 32 年度燃費基準値     平成 32 年度燃費基準値
   非課税   より 10 %以上年譜性能     より 20 %以上年譜性能 の良いもの
         の良いもの          平成 32 年度燃費基準値
        平成 32 年度燃費基準値
    1 %   を満たすもの          より 20 %以上年譜性能 の良いもの
        平成 27 年度燃費基準値      平成 32 年度燃費基準値
    2 %   を満たすもの
 ② 市町村交付金の交付割合を、次のとおりとする。
   現 行               100 分の 65
   平成 31 年度から平成 33 年度まで  100 分の 47
   平成 34 年度以降          100 分の 43
(注) 上記の「現行」とは、環境性能割導入以後に適用することとされている交付 割合に関する規定である。
(5) 平成 31 年 10 月 1 日から平成 32 年 9 月 30 日までの間に取得した自家用乗用車 に係る環境性能割について、次のとおり税率 1 %分を軽減する特例措置を講ずる。
また、この措置による減収については、全額国費で補填する。
  本措置を講ずる前の税率    本措置を講じた後の税率等
      1 %             非課税
      2 %             1 %
      3 %             2 %
<自動車税種別割>
(7) 自家用乗用車(三輪の小型自動車を除く。)に係る種別割の税率を次のとおりとし、平成 31 年 10 月 1 日以後に新車新規登録を受けたものから適用する。
(総排気量)        現行   改正案
1,000㏄以下      29,500 円  25,000 円
1,000㏄超 1,500㏄以下 34,500 円  30,500 円
1,500㏄超 2,000㏄以下 39,500 円  36,000 円
2,000㏄超 2,500㏄以下 45,000 円  43,500 円
2,500㏄超 3,000㏄以下 51,000 円  50,000 円
3,000㏄超 3,500㏄以下 58,000 円  57,000 円
3,500㏄超 4,000㏄以下 66,500 円  65,500 円
4,000㏄超 4,500㏄以下 76,500 円  75,500 円
4,500㏄超 6,000㏄以下 88,000 円  87,000 円
6,000㏄超       111,000 円  110,000 円
(8) 自動車税において講じている燃費性能等の優れた自動車の税率を軽減し、一定年 数を経過した自動車の税率を重くする特例措置(いわゆる「自動車税のグリーン化特 例」)について、次の措置を講ずる。
① 自家用自動車
 イ 自動車税のグリーン化特例(軽課) 平成 33 年度及び平成 34 年度に新車新規登録を受けた自動車について、現 行対象としている自動車のう
 ち電気自動車、天然ガス自動車、プラグインハ イブリッド自動車及び軽油自動車に限った特例措置(税率を概ね 100 分の 75 軽減する措置)
 を、当該登録の翌年度に講ずる。その上で、平成 31 年度及び 平成 32 年度に新車新規登録を受けた自動車については、平成 30 年度に新車 新
 規登録を受けた自動車に係る自動車税において講じられている措置と同様の措置を適用する。
 ロ 自動車税のグリーン化特例(重課) 平成 31 年度及び平成 32 年度において、現行と同様の措置を講ずる。
2 復興支援のための税制上の措置
3 租税特別措置等
4 その他


【総 評】 今回は平成 31 年度税制改正大綱に関して、検証していきました。 特に目新しく感じたのは、消費課税では自動車税率の見直しへの取組みが目に付きました。
posted by 7に縁がある税理士 at 16:04| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする