2020年01月11日

「令和 2 年度税制改正大綱」の要約 趣旨等

「令和 2 年度税制改正大綱」の目次を下記に列挙し、見送られた改正項目、前年度と同様の
改正項目等が再度盛り込まれたのかを検証していきます。

目 次

第一 令和 2 年度税制改正の基本的考え方・・・・・・・・・・・・1
安倍内閣は、これまで、経済再生なくして財政健全化なしとの方針の下、デフレ脱却に取
り組むとともに、全世代社会保障への転換とその安定財源確保のための消費税率 10%への
引上げを経て、財政健全化に大きな道筋をつけてきた。税制は経済社会のあり方に密接に関
連するものであり、今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代
内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、検討を進める。

以下、令和 2 年度税制改正の主要項目及び今後の税制改正に当たっての基本的考え方を
述べる。

1 デフレ脱却と経済再生、
2 中小企業等の支援、地方創生
3 経済のグローバル化・デジタル化への対応
4 経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
(4) 資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築と格差固定化の防止
高齢化の進展に伴い、いわゆる「老老相続」が課題となる中で、生前贈与を促進す
る観点からも、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築が課題となっている。今
後、諸外国の制度のあり方も踏まえつつ、格差の固定化につながらないよう、機会の
平等の確保に留意しながら、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を
見直し、資産移転の時期の選択に中立的な制度を構築する方向で検討を進める。
こうした検討の進捗の状況を踏まえ、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税
措置及び結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置についても、次の
適用期限の到来時に、その適用実態も検証した上で、両措置の必要性について改め
て見直しを行うこととする。
5 円滑・適正な納税のための環境整備
(2) 消費税の申告期限の延長
働き方改革が進められる中、企業は非効率な業務プロセスの見直し等を行い、従業
員の生産性をより一層向上させる等の取り組みが求められている。
企業の事務負担の軽減や平準化を図る観点から、法人税の申告期限を延長すること
ができる企業について、消費税の預り金的な性格を踏まえつつ、消費税の申告期限を
1 か月に限って延長する特例を創設する。
6 その他
(1) たばこ税の見直し 近年急速に販売が拡大している軽量な葉巻たばこについては、たばこ市場・産業への
影響、中長期的な国・地方の税収への影響なども踏まえ、紙巻きたばこと同様の課税方
式への見直しを行う。その際、たばこ関係事業者への影響も勘案し、段階的に実施する。

第二 令和 2 年度税制改正の具体的内容・・・・・・・・・・・・・18

一 個人所得課税
1 金融・証券税制
2 土地・住宅税制
3 租税特別措置等
4 その他

二 資産課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
1 所有者不明土地等に係る課税上の課題への対応
2 租税特別措置等
3 その他

三 法人課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60
1 イノベーション強化に向けた取組み 2 5G(第 5 世代移動通信システム)
3 連結納税制度の見直し
4 中小企業等の支援
5 地方創生の推進
6 私的年金等に関する公平な税制のあり方
7 その他の租税特別措置等
(国 税)
〔廃止・縮減等〕
(15) 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、
次の見直しを行った上、その適用期限を 2 年延長する(次の①の見直しを除き、所得税についても同様とする。)。
① 対象法人から連結法人を除外する。
② 対象法人の要件のうち常時使用する従業員の数の要件を 500 人以下(現行: 1,000 人以下)に引き下げる。
8 その他
四 消費課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81
1 たばこ税の見直し (国税・地方税)
軽量な葉巻たばこに係る国及び地方のたばこ税の課税方式について、次の見直しを行う。
(1) 軽量な葉巻たばこ(1 本当たりの重量が 1g 未満の葉巻たばこをいう。)の課税標 準について、葉巻たばこ 1 本を紙巻たばこ 1 本に換算する方法とする。
(2) 上記の改正は、令和 2 年 10 月 1 日から実施するが、激変緩和等の観点から、同 日から令和 3 年 9 月 30 日までの間について、上記の改正の対象を 1 本当たりの重
量が 0.7g 未満の葉巻たばこに限ることとし、その場合の換算方法を葉巻たばこ 1
本を紙巻たばこ 0.7 本に換算する方法とする経過措置を講ずる。
(3) その他所要の措置を講ずる。
2 法人に係る消費税の申告期限の特例の創設 (国 税)
法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について、次の措置を講ずる。
(1) 法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける方人が、 消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出した場合
 には、当該提出をした日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する
課税期間に係る消費税の確定申告書の提出期限を 1 月延長する。
(2) その他所要の措置を講ずる。
 (注 1) 上記の改正は、令和 3 年 3 月 31 日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用する。
(注 2) 確定申告書の提出期限が延長された期間の消費税の納付については、

当該延長された期間に係る利子税を併せて納付する。
(地方税)
法人に係る消費税の申告期限の特例の創設に伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。
(注) 上記の改正は、令和 3 年 3 月 31 日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用する。
3 租税特別措置等
(国 税)
[延長・拡充等]
(1) 入国者が輸入する紙巻きたばこのたばこ税の税率の特例措置について、特例税率 を 1,000 本につき 13,500 円(現行:12,500 円)に引き上げた上、その適用期限を 1 年延長する。
(注) 上記の改正のうち、税率引上げについては、令和 2 年 10 月 1 日から実施する。
4 その他
五 国際課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87
1 子会社からの配当とこ会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応
2 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度等の見直し
3 その他

六 納税環境整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
1 振替納税の通知依頼及びダイレクト納付の利用届出の電子化
2 準確定申告の電子的手続の簡素化
3 納税地の異動があった場合の振替納税手続の簡素化
4 電子帳簿等保存制度の見直し
5 地方税共通納税システムの対象税目の拡大
6 その他の円滑な申告・納税のための環境整備
7 国外財産調書制度等の見直し
8 国外取引等の課税に係る更正決定等の期間制限の見直し
9 利子税・還付加算金等の割合の引下げ 10 その他の課税関係の整備・適正化等

七 関税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
1 暫定税率等の適用期限の延長等
2 個別品目の関税率等の見直し
3 国際コンテナ戦略港湾政策に係るとん税及び特別とん税の特例措置の創設
4 その他
第三 検討事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103

1 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間及び世
代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金を始め
とした各種年金制度間のバランス、貯蓄・投資商品に対する課税との関連、給与課税等と
のバランス等に留意するとともに、平成 30 年度税制改正の公的年金等控除の見直しの
考え方や年金制度改革の方向性、諸外国の例も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課
税のあり方を総合的に検討する。
6 自動車関係諸税については、技術革新や保有から利用への変化等の自動車を取り巻く環
境変化の動向、環境負荷の低減に対する要請の高まり等を踏まえつつ、国・地方を通じた
財源を安定的に確保していくことを前提に、その課税のあり方について、中長期的な視点
に立って検討を行う。


【総 評】
今回は令和 2 年度税制改正大綱に関して、検証していきました。 平成 31 年度税制改正
大綱は表紙 1P、目次 1P、本文 122P の冊子だったのが、令和 2 年度税制改正大綱は表紙
1P、目次 1P、本文 117P の冊子と前年度より若干スリムなボリュームのある内容になった
印象です。
特に目新しく感じたのは、消費課税ではたばこ税の見直し、資産課税では資産移転の時期
の選択が目に付きました。
posted by 7に縁がある税理士 at 23:37| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

【電子申告に関する要望事項(抜粋)】の解説

日税連は、このほど「電子申告に関する要望事項」を取りまとめ、国税庁及び一般社団法
人地方税電子化協議会に提出することとした。この要望書は、情報システム委員会が毎年、
電子申告の問題点及び課題を実務家の視点から抽出し取りまとめているもの。本稿では、そ
の抜粋を掲載する(全文は日税連ホー ムページに掲載)。

■ e-Tax 編 ■

【重要要望項目】
(電子証明関係)
(1 税理士の代理送信について、税理士であることを証明できる仕組みを設けること。)
税理士法第 33 条において税理士資格を証明できる電子証明書の送信を 義務付ける
か、少なくとも電子的に税理士であることを証明できる仕組み を設ける必要がある
(メッセージボックス)
(4 メッセージボックスについて以下の改善を図ること。) (1) システム面の改善。 ① e-Tax の利用時間外であっても参照できるようにすること。
② 「還付金処理状況」は最終更新から 1 か月間閲覧可能となっているが、翌期の確定
申告の際に必要な情報であるため、それまで期間を延長すること。あるいは他に確認
手段を講じること。
(2)受信通知の表記の改善。

(3)税理士のメッセージボックスの改善。
現在、税理士は自らの申告、代理送信ともに同じ利用者識別番号を使っているが、税理
士本人に関する情報と代理した納税者に関する情報が混 在しているため、税理士
のメッセージボックスの閲覧方法について改善 すること。

(4)メッセージボックスの発展的なシステムの構築。
(その他)
(5 電子申告実施後に納付書の発行を可能にすること。)
今後、金融機関で納付可能な納付書を国税庁ホームページからダウンロードする等の
方法によって入手可能となることを要望する。

【重要項目】
(7 電子納税・ダイレクト納付について改善を図ること。)
(1) ダイレクト納付手続に関する改善。
ダイレクト納付手続は完了まで 3 週間から 1 カ月程度を要することから、ダイレクト納付届出書の電子申請を可能とするなど手続きの簡略化及び期間の短縮を図ること。
(2) 対応金融機関の拡大。
多くの銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫がダイレクト納付に対応しているが、よ
り一層の利便性向上のため、農業協同組合やネット銀行など全ての金融機関でダイレ
クト納付ができるよう働きかけること。
■ eLTAX 編 ■
【重要要望項目】
(システム)
(4 全ての都道府県及び市町村において、全ての申告、申請、届出を提出可 能とすること。)
提出先によって紙媒体で提出しなければならない書類もあるため、全ての都道府県及
び市区町村において、全ての申告、申請、届出が電子で 提出可能となることを要望する。
(6 メッセージボックスについて以下の項目について改善すること。)
申告完了後の受信通知の保存期間が 400 日から 120 日に短縮された。
これは e-Tax の 1900 日に比較して極端に短く、保存期間の延長を要望する。


【総 評】 今回は、日本税理士会連合会情報システム委員会が取りまとめた電子申告に 関
する要望事項(抜粋)について取り上げたのは、今年 12 月に提出される自民 党政権下での
平成 31 年度税制改正にどこまでこの要望事項(抜粋)が取り込まれているかの確認の意味
での意図からです。

特に同意を示したのが、下記事項です。 (6 メッセージボックスについて以下の項目につ
いて改善すること。) 申告完了後の受信通知の保存期間が 400 日から 120 日に短縮され
た。 これは e-Tax の 1900 日に比較して極端に短く、保存期間の延長を要望する。 アン
バランスを解消した方がよろしいと思いました。

ここまでで会計税務コラム等の事務所通信のご提供をいったん終了させていただきます。
posted by 7に縁がある税理士 at 22:24| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

【令和 2 年度税制改正に関する建議書】

■Ⅰ 税制に対する基本的な視点■
(1) 公平な税負担 納税者が負担能力に応じて分かち合うという意味で公平には、水平的公平、垂直的公
平とともに世代間の公平の問題があり、それらが相互に補完し合うバランスのとれた税
制を構築していく必要がある。 (2) 理解と納得のできる税制 租税制度は納税者が理解できるものであり、また、その目的や内容についても納得で
きるものである必要がある。 (3) 適正な事務負担 納税者に求められる事務負担は過度なものであってはならず、必要かつ最小限になる
ように配慮されるべきである。また、適正な事務負担は、税務行政においても考慮する
必要がある。 (4) 時代に適合する税制 税制を常に時代に適合するものとすべく、その見直しを継続しなければならない。 (5) 透明な税務行政 公平な税負担の確保と申告納税制度を維持・発展させるためには必要不可欠であり、納
税者からさらなる信頼を得るための施策を行っていく努力が求められる。

■Ⅱ 本建議書における重要建議項目■

1 消費税における単一税率及び請求書等保存方式を維持すること
事業者の事務負担が増加すること等の理由から、日本税理士会連合会は、単一税率制度に
すべきである。
令和 5 年 10 月に導入予定の区分経理等のための適格請求書等保存方式(いわゆるインボ
イス方式)への移行については、例えば、請求書等に一定の記載事項を追加することにより、
区分経理等は十分可能である。
事業者の負担と徴税コスト等を考慮し、仕入税額控除方式(インボイス方式を含む。)及び
免税点制度等の見直しを含めた消費税制のあり方について抜本的に再検討すべきである。
2 基礎的な人的控除のあり方を見直すとともに、所得計算上の控除から基礎控除へのシフ
トを進めること。
給与所得控除及び公的年金等控除の水準が過大であることや、こうした所得計算上の控
除が適用されない事業所得者等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除を縮減した上で、
基礎的な人的控除を引き下げるべきである。

■Ⅲ 今後の税制改正についての基本的な考え方■

【所得税】
所得の種類に関係なく課税最低限を設定できる基礎的な人的控除を中心とした制度を構
築すべきである。
【中小法人税制】
具体的な税制改正に際しては、個人と法人の課税制度の相違を前提にした上で、総合的に
検討し、公平・中立・簡素な制度とすべきである。
資本金基準や所得金額のほか従業員数など他の指標を組み合わせることが適当である。
【法人税】
法人税制の改正に当たっては、税率の引下げと課税ベースのトレードオフによる財源確
保の視点ではなく、適正な課税ベースの構築を基本に据え、公平・中立が維持できる制度と
なるようにすべきである。
【消費税】
日本税理士会連合会は、概ね次のような姿をあるべき消費税制と考えている。
①単一税率制度が望ましい。
②仕入税額控除方式としては、現行の請求書等保存方式を維持することが適切である。
③基準期間における課税売上高による納税義務の判定を廃止し、当年又は当事業年度にお
ける課税売上高により課税事業者の判定をし、業者とした上で、課税売上高が一定額以下
の場合は、申告不要制度等を創設する。
④簡易課税制度については、みなし仕入れ率を引き下げた上で設備投資に係る仕入税額控
除を認め、一定の要件を付した上でその課税期間に係る諸届けの提出時期を申告期限ま
でとする。
⑤課税ベースを狭めることとなる非課税の範囲を縮小する。
【相続税・贈与税】
高齢者世代から若年世代への資産移転を通じて経済の活性化を図るという社会的要請が
あり、贈与税において、相続税の補完税としての機能を弱めるとともに、資産格差の固定化
につながることから、適用期限の到来を見据えて廃止又は縮小すべきである。世代間の資産
移転を促進するためには、贈与税の基礎控除の拡大や税率構造の見直しを行うべきである。
【地方税】
地方行政の役割が一層高まっており、税源の偏在性が少ない地方税制を構築する必要が
ある。
法人事業税の外形標準課税の適用対象法人については、大法人向けの外形標準課税の拡
大は必要であるが、中小法人については、適用すべきでない。
【納税環境整備・その他】
2 国税通則法等
複雑で難解な税法及び税務手続を専門家でない納税者が正しく理解することは必ずしも
容易ではなく、納税者が誤った理解のもとに不利益を被る可能性も高い状況において、納税
者の最低限の権利保護を目的として、諸外国にも例の多い納税者憲章を制定するとともに、
国税通則法 第 1 条(目的)に「納税者の権利利益の保護に資する」旨の文言を追加すべきで
ある。
3 申告書等閲覧サービス
目的外使用をしない旨の同意文書の提出、手数料の納付などの措置を講じればよく、納税
者の利便性と正確性を確保するためにも、同サービスの運用に当たっては、コピーの交付等
(カメラ撮影およびスキャナによる読み取り)を可能とすべきである。
4 公会計制度
国及び地方公共団体の財政状態や、行政コストの内容等を容易に把握するため、「国の財
務書類」がより一層活用されるように取り組むことが必要である。
5 成年後見制度等への対応
関連する税制及び税務上の取扱い等を見直すことが必要である。
【災害対応税制】
恒久法として「災害税制に関する基本法」を立法化すべきであると要望してきた。

■Ⅳ 税制改正建議項目■

【所得税】
個人が業務用不動産を譲渡したことにより生じた譲渡損失についても、損益通算等を認
めるべきである。
【法人税】
損金不算入とする役員給与を明示した上で、役員報酬及び賞与について株主総会等の決
議によって事前に確定した金額の範囲までの部分については、不相当に高額なものを除き、
原則として損金の額に算入すべきである。
【消費税】
基準期間における課税売上高による納税義務の判定を廃止し、すべての事業者を課税事
業者とした上で、当年又は当事業年度の課税売上高が一定額以下の場合は、選択による申告
不要制度等を創設すべきである。
なお、簡易課税制度についても同様に、現行の基準期間による判定ではなく当年又は当事
業年度の課税売上高が一定額以下の場合には確定申告時に選択できるよう改正すべきであ
る。


【総 評】
今回、日本税理士会連合会が取りまとめた令和 2 年度税制改正に関する建議書について
取り上げたのは、今年 12 月に提出される自民党政権下での令和 2 年度税制改正にどこまで
この建議書が取り込まれているかの確認の意味での意図からです。

例年からの内容が盛り込まれておりましたが、消費税率の引上げに伴う低所得者層への負
担増いわゆる逆進性への対応策として軽減税率の今後の導入の行方が気になりました。日
本税理士会連合会がいうように、大部分は低所得者世帯以外の世帯に対する軽減税率とな
る恐れがあり、今問題となっている年金以上に支給している生活保護の支給に近い状況が
起こるのではないかと思われます。

今まで若いころに一生懸命に働き、掛けてきた年金を、定年を迎えた老後に支給できるよう
にしたはずです。ところが今は大変不景気で、病気やけがのため、失業したわけではなく、
勤め先が倒産したがために、本人は働く気が合っても、再就職先が見つからず、比較的若い
ころから生活保護を支給されるようになってしまっています。

日本は「皆平等」「弱者救済」「困ったときはお互い様」の精神が昔からあります。ただ、そ
れを行き届かせることにこだわると、税収増が思ったほど見込めず、国及び地方の借金が一
向に減らないのではないでしょうか。

しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
posted by 7に縁がある税理士 at 21:37| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

令和1年 税理士会員向けの会員相談室に寄せられた相談事例

(税理士会員相談室)
<<消費税>>
● 販売用の住宅を一時的に賃貸した場合の個別対応方式による仕入税額控除
質 問
不動産業を営む A 社は、販売目的で分譲マンションを取得したが、資金繰りその他の
事情を考慮し、一時的に居住用として賃貸することとなった。この場合において、建物の
取得費は「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分して仕入税額控除を計算すること
ができるか。
回 答
課税仕入れを行った日(建物取得時)の目的が「販売用」であり、建物取得時点で非課税と
なる家賃収入が発生する予定がなかったことから、「課税資産の譲渡等にのみ要するも
の」に区分して問題ないものと思われる。
検 討
質問の事例では、建物取得時の用途が販売用であるから、これを一時的に賃貸したとし
ても、その賃貸により発生する家賃収入(非課税)は、課税仕入の用途区分に影響しないも
のと考えるべきである。
なお、一時的な目的変更とはいえ、販売目的から賃貸用に変化しているため、後日説明
を求められることも考えられる。そのため、法人内部の稟議書等で、取得後の一時的な賃
貸その他の経緯を整理しておくと有効である。

● 賃貸中の中古マンションを取得した場合の個別対応方式による仕入税額控除
質 問
不動産業を営む B 社は、住宅として賃貸中の中古マンションを、買手を先に確保した
上、転売目的で賃借人付きで丸ごと取得したが、買手の資金の都合により、実際の売却は
決算をまたいで 10 ヶ月後となった。この場合において、建物の取得費は「課税資産の譲
渡等にのみ要するもの」に区分して仕入税額控除を計算することができるか。
なお、当該土地建物の保有期間中の家賃収入は、当社の収益として計上しているが、建
物部分についての減価償却費は計上せず、決算書には取得した 土地建物を「商品」とし
て表示する予定である。
回 答
本件中古マンションの取得の目的は転売にあることから、最終的に課税売上げが発生
することは明らかである。ただし、建物の取得時点で入居者がいることから、最終目的が
中古マンションの転売ということであっても、転売までの間、非課税となる家賃収入が発
生していることも事実である。したがって、本件建物の取得は、課税資産の譲渡等とその
他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入に区分せざるを得ないものと思われる。
検 討
賃借人と買手を含めた三者間の協議により、 1 か月未満の短期家賃については買手に帰
属するなどの取り決めをした場合には、消費税における課税仕入れの用途区分は「課税資
産の譲渡等にのみ要するもの」に区分することが認められ、法人税においても寄付金認定
などはなく、家賃収入は買手に帰属させることができるものと思われる。
上述のように非課税収入の収受権を転売先に帰属させることで、「課税資産の譲渡等と
その他の資産の譲渡等に共通して要するもの」から「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」
に用途区分を転換させるなどの工夫も必要になるものと思われる。

● 用途を変更した場合の修正申告の是非
質 問
不動産業を営む C 社は、前事業年度末に貸ビルを建築するための敷地を購入し、仲介
手数料を支払っている。当該前事業年度に係る消費税の確定申告では、個別対応方式を採
用し、仲介手数料は、ビルの家賃収入(課税)に対応するものとして、「課税資産の譲渡等
にのみ要するもの」に区分している。
当初計画をしていた建物の建築がかなわず、不採算となることが判明した。そのため、
やむなく当該土地を更地のまま転売することとなった。
この場合において、前期の消費税の確定申告で、全額を仕入税額控除の対象とした仲
介手数料について、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」に用途区分を変更した上
で、修正申告をする必要があるか。
回 答
質問の事例では、仲介手数料支払時の用途が貸ビルを建築するための敷地の取得に係
るものであるから、その後に土地の用途が変更になったとしても、当初の用途区分を変更
し、修正申告をする必要はない。
検 討
本件の場合、賃貸ビル建設の計画から販売へと方向転換に至った理由から、用途区分の
変更が後発的な事象に基因するため、修正申告の必要性は存しない。そこで、後日その状
況の客観性を主張する場面を想定し、販売への用途区分の変更経緯を整理しておくと有
効である。
なお、土地を購入した場合に支払う仲介手数料や土地造成費は、その土地の用途に応じ
て次のように区分することになる。

【仲介手数料等の課税仕入れの用途区分の判定】
利用方法      課税仕入れの用途区分
        課税資産の  その他の資産    共通して
        譲渡等にのみ  の譲渡等にのみ   要するもの
        要するもの  要するもの
①販売用の      土地の売上高に直接
土地の場合      対応するもの
②購入した  建物の売上げに       土地の売上げと
土地の上に  直結する建物の       建物の売上げに
建物を建て、  建築費          対するもの
分譲住宅と
して販売
する場合
③購入した      ・住宅家賃収入に
土地の上に       直接対応するもの
建物を建て、     ・建物の建築費
賃貸住宅と
して貸付け
る場合
④購入した   ・住宅以外の
土地の上に   家賃収入に直接
建物を建て、  対応するもの
店舗として  ・建物の建築費
貸付ける場合
⑤用途未確定           売上げと明確な
の場合             対応関係ないもの

● 建物の建替えに伴う立退料の取扱い
質 問
当社は画材関連品の小売業を営んでいるが、従来(20 年以上前)から賃借していた店舗
用建物の建替えに伴い、立退きの要求を受けた。
当社としては、立地条件や同業者の減少等により、安定した売り上げが得られていたこ
ともあり、その補てん分としての立退料を要求したところ、600 万円の支払いを受けるこ
とになった。
この場合、受け取った立退料について、消費税の課税対象となるのか。
回 答
原則として、課税対象外取引となるため、消費税の課税対象とはならない。
検 討
現実問題として、立退料が支払われる場合に、それらが明確に区分されて支払われるこ
とはほとんどなく、その判断が困難であることから、次の通達が設けられている。
(建物賃貸借契約の解除に伴う立退料の取扱い)
消基通 5-2-7
建物等の賃借人が賃貸借の目的とされている建物等の契約の解除に伴い賃借人から収
受する立退料(不動産業者等の仲介を行うものを経由して収受する 場合を含む。)は、賃
貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失又は移転等に要する実費補償な
どに伴い収受されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当しない。
(注) 建物等の賃借人たる地位を賃借人以外の第三者に譲渡し、その対価を立退き料等
として収受したとしても、これらは建物等の賃借権の譲渡に係る対価として受領さ
れるものであり、資産の譲渡等の対価に該当することになるのであるから留意する。
ここで留意したいのは、通達の注書きの意味である。
具体例としては、銀座で飲食店(クラブ)を営む法人が、オーナーの了解のもとに、

「建物賃借権」として第三者に譲渡するケースは、資産の譲渡であることから、課税
対象取引として取り扱われることになる。

【総 評】
今回は会員相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見落としやす
い論点を再確認していただきたい意図からです。
共通して「用途区分を変更」した場合における質問・回答が目に付きました。消費税申告に
おける個別対応方式を採用した場合の 3 種類の課税仕入れの用途 区分も表にしてみました。
これは課税売上割合が 95%未満の場合、採用される もので、他に一括比例配分方式があり
ます。
また、余談ですが、平成 27 年 4 月 1 日以後に開始する課税期間から消費税の簡易課税制
度におけるみなし仕入率がそれまでの 90~50%の刻みだったのが、90~40%の刻みになり
ました。特に、第四種事業の金融業及び保険業が 60%から 50%に、第五種事業の不動産業
が 50%から 40%に変更になりましたので、御留意下さいませ。
しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
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令和1年 税理士会員向けの会員相談室に寄せられた相談事例

(税理士会員相談室)
<<資産税>>
● 交換の特例の「交換のために取得したものでないこと」の要件
質 問
A は、長期保有の P 宅地を B が 2 年前に取得した Q 宅地と交換する。両宅地は等価
であり、A は、交換後の Q 宅地を宅地の用に供する。A は、固定資産の交換の場合の譲渡
所得の特例(以下「交換の特例」という。)の適用を 受ける考えである。
交換の特例には、対象資産の要件として、相手方が「交換のために取得したと認められる
ものを除く」との要件があるが、A は、B が 2 年前に Q 宅地を 取得したことは、取引の
際の資料等により確認しているものの、B がそれを 交換のために取得したかどうかについ
ては判定することができない。 A の交換は、Q 宅地を B が交換のために取得したと認定
されて、A の交換の 特例の適用が否認されることにはならないだろうか。
回 答
2 年前に B が Q 宅地を取得した目的がその後に行う交換のためであったことが客観的に
明らかでない場合には、「交換のために取得したと認められる ものを除く」という特例適用
除外事由をクリアーしたものとして、交換の特 例を適用することができる。
検 討
交換の特例の適用要件には、①各当事者が 1 年以上所有していた固定資産 であること、
②交換取得資産につき相手方が交換のために取得したと認められるものでないことが含ま
れている。上記要件のうち、①の要件は譲渡資産及び取得資産の両方に適用される。取得資
産についての「1 年以上所有」の 要件は、昭和 40 年度の税制改正により追加されたもの
であり、その改正前 は譲渡資産のみの要件であった。他方、取得資産に係る②の要件は、
①の改 正前から存在している。
昭和 40 年度改正当時の大蔵省主税局の担当官の説明によれば、相手方所有であった取
得資産についても「1 年以上の所有要件」を追加し、これを外形基準として上記②の要件の
判定を容易にしたのがその改正の趣旨であったことが認められる(昭和 40 年版「改正税法
のすべて」大蔵財務協会 35 頁)。

● 譲渡資産が自己の事業用の試算でない場合の買換え等の特例の適用
質 問
甲は、10 年ほど前に、営んでいた大都市郊外での農業経営は、農業経営移譲年金を受給
するために甲と同居し生計を一にしている長男乙に移譲した。
甲は、この度、公共事業のために自己が所有し乙が営む農業の用に供して きた農地 1,800
㎡を買い取られ、対価補償金 7000 万円を受け取った。補償金収入で代替資産としての土
地の買換えを行う意向はなく、自己が所有する土地上に 7000 万円の建築費用を投じて貸家
建物数棟を新築したいと思っている。
甲が行う予定の貸家の新築について、租税特別措置法 33 条 1 項に規定する 収用等に
より資産を買い取られた場合の代替資産の取得の特例(以下「代替資 産取得の特例」とい
う。)の適用を受けることができるか。
回 答
甲は、新築して貸家の用に供する建物を代替資産として、代替資産取得の特例を適用する
ことができる。
検 討
代替資産取得の特例の代替資産となるのは、
①個別法としての譲渡資産の種類区分ごとの「同種の資産」(措令 22④)、
②一組法としての譲渡資産の用途区分に応ずる「一組の資産」(措令 22⑤)、
③事業継続法としての譲渡資産がその譲渡人の事業用であった場合に、その者が事業用に
供するために取得する上記①②に該当する資産以外の資産で ある(措令 22⑥)。
甲が新築する貸家建物は、上記③の事業継続法の「事業用資産」に該当する。
なお、この場合における甲の譲渡資産は、甲の事業用に供されていたもので はなく、長男
乙の事業用に供されていたものであって、甲の取得資産は、甲 自身の事業用に供するもの
である。
しかし、事業用資産の所有者と事業経営者が異なることになった場合においても、双方が
生計を一にしているときは、その譲渡資産及び買換資産のいずれもがその譲渡・買換えをし
た者の事業用資産であるとみて、この特例を 適用する取扱いが定められている(措通 33
43)。
この取扱いは、特定の事業用資産の買換えの特例(措法 37①)にも、準用される(措通 37
22)。

● 低額譲受益課税を受けないで配偶者控除の適用をする贈与税対策
質 問
丁は、このほど丙との婚姻期間が 20 年以上となったので、丙から通常の売買価額が
4600 万円と認められる自宅の土地家屋(以下「自宅不動産」という。)
全部の贈与をしてもらい、贈与税の配偶者控除 2000 万円(以下「本件控除」という。)の適用
を受けたいと考えた。
丁は、税務署の担当部門に出向いて相談したところ、自宅不動産の相続税 評価額が 3,500
万円であり、丁が自宅不動産の贈与を受けて本件控除の適用をしても贈与税が 450 万円余
もかかることが判明したことから、その計画は断念した。
その後に丁の父が死亡し、丁が遺産中の預金を相続して、相続税納付後の 預金額 3000
万円が残存している。丁は、その残存預金額を原資に丙から自 宅不動産を買い受けること
で、当初本件控除の適用対象財産として受贈予定 であった自宅不動産を改めて取得するつ
もりである。
この場合には、丁に対する贈与税の課税関係は、どのようになるのか。
回 答
丁が丙から自宅不動産を買い受ける場合は、丁に対して、自宅不動産の相 続税評価額と
その買受価額との差額でなく、通常の取引価額 4600 万円と買 受価額 3000 万円との差額
に相当する低額譲受益 1600 万円を対象に贈与税が課税される(平成元年 3 月 29 日付け個別
通達)。
しかし、丁がこの受贈益 1600 万円につき、丙から自宅不動産に係る居住用不動産に係る
居住用不動産の一部の贈与を受けたとして贈与税の申告をすればこれが認められる。
検 討
丁の本件控除の適用関係について検討してみると、相続税法 21 条の 6 第 1 項に規定する
「居住用不動産」でも「居住用不動産を取得するための金銭」でもなく、自宅不動産を低額で
譲り受けたことによる「経済的利益の享受」であるから、これが本件控除の対象財産とはな
らないと考えられる。
しかしながら、この売買では、居住用不動産に該当する自宅不動産のうち 一部が売買され
残余が贈与されたと見ることができ、本件控除では居住用不 動産の一部の贈与も適用する
ことが可能であるから、この自宅不動産に係る 低額譲受益額 1600 万円につき居住用不動
産の一部贈与があったとして贈与 税の申告書を提出すれば、本件控除を適用することがで
きることになる。

● 短期前払費用通達の運用上の留意点
質 問
同族会社である A 社は、代表取締役 B 氏の所有する不動産を借用して、事 業を営んで
いる(3 月決算法人)。A 社は資金的な余裕があり、かつ、B 氏からの要望もあったため、家
賃等の支払方法を 1 年分のまとめ支払いに変更する ことを考えている。
法人税の短期前払費用の取扱いは、実務上浸透しているようであるが、運用上注意しなけ
ればならない点をご教示いただきたい。
回 答
短期前払費用の取扱いは、①契約に基づくものであること、②継続的に役 務の提供を受
けるものであること、③1 年以内に提供を受ける役務に係るも のを支払ったこと、④継続
して支払った日の属する事業年度の損金の額に算入していること、⑤収益と対応させるべ
き費用でないこと、という要件が付 されている(法基通 2-2-14)。
そのため、通達の運用上は、これらの要件を逸脱しないよう配慮する必要が ある。
検 討 (1) 通達運用上の留意点 ② 「継続的に役務の提供を受けるもの」については、等質等量のサービス が契約期間中
に継続的に提供される必要がある。本件は、不動産の提供に 基づく家賃等であるため、
その解釈の範疇にある。なお、税理士の顧問契約等については、役務の提供度合いが等
質等量とは言えないケースが多い ため、通達の適用にあたって否定的な考えが支配的
である。
③ 「1 年以内に提供を受ける役務に係るものを支払っていること」は、当年 4 月から翌
年 3 月分の家賃等であるならば、当年 3 月末に支払ったもの であれば許容範囲である
と思うが、当年 2 月に支払ったものについては、短期前払費用の取扱いは適用されな
い。つまり、役務の受入れの開始前に対価の支払が行われ、その支払時から 1 年を超え
る期間を支払対象期間とするようなものは、通達の適用から除外されていることを読
み取らなければならない。
なお、家賃等が未払の場合には、本通達の対象とならない。
④ 本件のような同族関係者間取引であれば、一旦変更された契約内容については、むや
みに変えるべきではない。 (2) 想定しておかなければいけない留意事項 短期前払費用の取扱いの適用により、支払 者側は損金の一時計上を行う ことになるが、反射的に受取側は収益として認識され
るため、変更年度の 課税所得の増幅効果が生じる。
そこで、月額から年額への変更は、単に 12 倍した金額の家賃等の取り 決めでは
なく金利調整分のディスカウントを配慮する、又は事実上の値上げの意味合いを整備
する等の必要性について、併せて検討するべきである。
最後に、所有権移転外ファイナンスリース等の要件を満たすような賃貸 借契約で
あった場合(定期借家契約等)には、短期前払費用の取扱いが適用 できなくなる。


【総 評】
今回は会員相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見落としやす
い論点を再確認していただきたい意図からです。
特に婚姻関係 20 年以上の夫婦間における「低額譲受益課税を受けないで配偶者控除の
適用をする贈与税」に関しては、夫婦間で行う売買価額が自宅不動産の通常の売買価額
4600 万円なのか相続税評価額 3500 万円なのかを注意して行い、居住用不動産の一部贈与
があったとして贈与税の申告書を提出しなければなりません。
しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
posted by 7に縁がある税理士 at 15:48| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

令和1年 税務相談室に寄せられた相談事例

(税理士会員相談室)
<<法人税>>
● 完全親法人に対する不動産譲渡損益の計上繰延べ
質 問
S 社は、平成 29 年 5 月に株式交換によって 100%支配関係に当たる P 社の グループに入
った。平成 30 年 1 月 1 日から 5 月末日までの間に遊休資産で ある土地及びその上に存す
る建物(以下「不動産」という。)を P 社に売却する 予定である。この不動産は減損会計の対
象となっており、平成 28 年 5 月期に評価損 87,392 千円を計上した結果、帳簿価額は 45000
千円となっている。帳簿価額の 45000 千円で売却した場合の税務処理がどうなるか。また、
資本 関係のない他社から 40,000 千円で購入の申し出がある。仮に時価と異なる価額で P
社に売却した場合の S 社と P 社の税務処理はどうなるか。なお、不動産を譲り受けた P 社
がその後その不動産を 100%グループ内の他の会社に譲渡した場合に S 社の税務処理はど
うなるか。
回 答
本事例の S 社と P 社間は完全支配関係にあるので、いわゆるグループ法人単体課税制度の
適用対象となる。本事例の譲渡の対象となる土地及び建物のそれぞれの譲渡直前の帳簿価
額が 10,000 千円以上であれば、いずれも譲渡損益調整資産に該当し、譲渡損益の繰延べの
対象となる。時価と異なる価額で譲渡があった場合は、その差額が受贈益または寄附金とな
る。たとえ 100%グループ内であっても譲受法人である P 社が他の関係会社に譲渡した場
合は、S 社において繰延べた譲渡損益を計上し、戻し入れる処理が必要となる。
検 討
1 譲渡損益の繰延べと戻入計上
本事例であるが、帳簿価額の 45,000 千円が適正な売買価額であるとすれば、会計上の譲渡
損失は生じないが、税務上は次の仕訳が想定される。


(借 方) (貸 方)
現 金 預 金 45,000 千円 土地・建物 132,392 千円
固定資産譲渡損失 87,392 千円
(注) 土地と建物はどちらも譲渡損が生じているものとする。減損会計の適用による評価損
の金額 87,392 千円は、税務上評価損の計上 が認められる事実には該当しないとして、S
社では平成 29 年 5 月期の申告 調整で加算(留保)されているので、その対象となった不動
産が平成 29 年 5 月期で譲渡される結果、同期の申告調整で減算(留保)される。
一方、減算の対象となった不動産がいずれも譲渡損益調整資産に該当すれば、グループ法人
単体課税制度のうち資産の譲渡損益の繰延べの規定 (法法61の13①)の適用を受けるので、
上記の仕訳で示している固定資産 譲渡損失の金額 87,392 千円が「譲渡損益調整勘定」とし
て申告調整で加算 (留保)される。
もっとも、 P 社が譲り受けた不動産のうち適正に計上した建物の減価償却費に見合う一定の
金額は S 社で減算(留保)調整して戻し入れる。また、P 社が譲り受けた不動産を他に譲渡
した場合も戻入未済の残額を S 社で減 算(留保)調整して戻入処理をすることになる(法法
61 の 13②、法令 122 の 14④一、三)。
2 時価と異なる価額で譲渡された場合
資本関係のない他社が 40,000 千円の買取価額を示している事実があり、これが実勢価額と
されれば売買価額との差 5,000 千円が生じ、これが S 社側では受贈益(完全支配関係のある
グループ法人間なので法人税法第 25 条の 2 第 1 項の規定により全額益金不算入)となり、
P 社側では寄附金 (完全支配関係のあるグループ法人間なので法人税法第 37 条第 2 項の規
定により全額損金不算入)となる。譲渡損益調整資産に該当する資産の譲渡であっても、資
産の譲渡であることに変わりはないので、実際に収受した金銭等の額ではなく、原則どおり
時価で譲渡があったものとして税務処理をすることになる。

● 損害賠償金の損金計上時期
質 問
Y 社の社員が起こした不祥事により、B が損害を受けたとして雇用者責 任を追及された。
Y 社は事故の過失を認め損害賠償に応ずることになった。Y 社は銀行融資が 2500 万円しか
受けられないとして当期末までに 2500 万円を支払った。その後、翌期に入って賠償金額
4000 万円の合意がなされ、追加の 1500 万円は 3 年の分割払いにすることが決まった。し
かし、当期の法人税の申告期限までに「合意書」等のような正式な文書作成 には至ってい
ない。期中に支払った 2500 万円は当期の損金の額に算入できるか。
回 答
損害賠償金の額が確定していない場合であっても、期末までに支払われた賠償金が当事者
間(Y 社と B との間)で争いがない金額と認められれば、当期の損金の額に算入される。
検 討
なお、翌期に入って当事者間の合意がなされ損害賠償金の額が 4000 万円と確定したようで
あるが、これを明らかにするために「合意書」等の文書の作成が必要となろう。本事例の残額
の 1500 万円は、たとえ分割払いがされたとしても、損害賠償金の額が当事者双方で合意さ
れ確定したときに債務が確定したとして、その確定した日の属する事業年度で全額を損金
の額に算入することが認められよう。


【総 評】
今回は会員相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見落としやすい
論点を再確認していただきたい意図からです。特に 100%支配関係に当たる P 社のグルー
プに土地建物売却後、資本関係のない他社が低い買取価額を示している事実があり、これが
実勢価額とされれば 売買価額との差が生じた時は注意が必要です。この場合、100%支配
関係に入った S 社の方で法人所得の計算上、減算(全額益金不算入)し、100%支配関係に当
たる P 社の方で法人所得の計算上、加算(全額損金不算入)としなければなりません。しばら
くは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
posted by 7に縁がある税理士 at 12:49| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

令和1年 税務相談室に寄せられた相談事例

(税理士会員相談室)
〈〈資産税〉〉
質 問
被相続人甲は、次のとおり遺言を残し、平成 30 年 5 月に死亡した。この場合、相続人及び
受遺者に対する相続税、所得税及び法人税の課税関係はどのようになるのか。
【遺言の要旨】
甲は、後記の財産を相続人及び知人 A,学校法人 B 学園に対し次のとおり遺贈する。
(財産取得者)
乙(妻・包括受遺者)・・・b地を除く全財産の 2 分の 1
丙(長男・包括受遺者)・・・a地、建物の 2 分の 1
A(知人・特定受遺者)・・・現金預金の 2 分の 1
(学)B学園(甲等との関係はない。特定受遺者)・・・b地全部
(財産内訳)
1 不動産・・a 地 400 ㎡、b地 300 ㎡、建物 200 ㎡
2 現金預金・・300 万円
なお、相続債務は、借入金 500 万円があった。
回 答
1 相続税関係
(1) 相続人乙、丙及び受遺者Aが取得した財産については、相続税が課税される。
(2) (学)B学園は、公益法人ではあるが法人にかわりにないから、原則 として、相続税は
課税されない。ただし、相続税法 66 条 4 項の適用 がある場合は、相続税が課税される。
2 所得税(譲渡所得)関係
(学)B学園への遺贈については、被相続人甲に対し原則として、所得税法 59 条 1 項
の規定により所得税(譲渡所得)が課税される。ただし、措置法 40 条の適用がある場合に
は、所得税(譲渡所得)は非課税となる。
3 法人税関係
公益法人が遺贈により取得した財産については、法人税の課税は、行われない。
検 討
1 相続税関係 (1) 課税財産について なお、事例の(学)B学園については、遺言者及びその親族等と何らの関係もないとの
ことなので、同条の適用はないと考えられる。 (2) 相続債務について 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する(民法 990 条)ことか ら、相続人と
同様、相続債務を承継することになる。特定受遺者は、積極財産の取得のみに止まり、
債務を承継することはない。
2 所得税(譲渡所得)関係
ただし、(学)B学園は公益法人であるから、措置法 40 条の承認要件を 満たせば被相
続人甲に対する所得税は非課税となる。
(注) 仮に措置法 40 条の適用がない場合は、被相続人甲に対してみなし 譲渡所得の課
税が行われるが、この場合、その所得税額は相続税の 債務控除の対象となる。
3 法人税関係
(学)B学園が遺贈により取得した財産については法人税が課税されない こととなる。

質 問
被相続人甲は、次のとおり遺言を残し、平成 30 年 5 月に死亡した。この 場合、相続人
及び受遺者に対する相続税、所得税及び法人税の課税関係はどのようになるのか。
【遺言の要旨】
乙、丙及び A は、後記 1、2 の財産を換価し、他の財産と合計したところ で次のと
おり分配する。
(財産取得者)
乙(長男・包括受遺者)には、5 分の 2
丙(次男・包括受遺者には、5 分の 2
A(知人・特定受遺者)には、5 分の 1
(財産内訳)
1 不動産・・・宅地 300 ㎡、建物 200 ㎡
2 上場株式・・・B 社株式、10,000 株
3 現金預金・・・5,000 万円
なお、相続人は、乙、丙のみであり、財産の換価及びその換価処分の代金の分配は、
遺言どおり行われた。
また、遺言により上記 1,2 の財産の換価が遺言執行者により行われた場合には、課税
関係が異なるか。
回 答
1 相続税関係
相続人乙、丙及び受遺者Aが取得した換価前の財産について、相続税が課税される。
換価前の財産の相続税評価額による。
2 所得税(譲渡所得)関係
不動産及び株式の換価処分に係る譲渡所得は、乙、丙及び A に対して分 配された価
額の割合に応じて課税される。
検 討
1 相続税について
(2) 法律面からの検討
② 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することから、換価処分等に関しては
相続人と同一の法律効果が包括受遺者に帰属し、相続税、譲渡所得の課税関係も相続
人と同一になると考えられる。
③ 相続または包括遺贈があった場合、被相続人の財産(換価処分前)は 相続開始と同時
に相続人又は包括受遺者に移転する(物件的効力)と考えられる。


【総 評】
今回は会員相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見 落としやす
い論点を再確認していただきたい意図からです。
特に相続における包括受遺者、特定受遺者其々の立場の違いは注意が必要です。
しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期 待ください。
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