2021年09月21日

令和3年(2021年) 税理士会員向けの会員相談室に寄せられた相談事例

(税理士会員相談室)
<<資産税>>
● 交換の特例の「交換のために取得したものでないこと」の要件
質 問
A は、長期保有の P 宅地を B が 2 年前に取得した Q 宅地と交換する。両宅地は等価であ
り、A は、交換後の Q 宅地を宅地の用に供する。A は、固定資産の交換の場合の譲渡所得
の特例(以下「交換の特例」という。)の適用を受ける考えである。
交換の特例には、対象資産の要件として、相手方が「交換のために取得したと認められる
ものを除く」との要件があるが、A は、B が 2 年前に Q 宅地を取得したことは、取引の際の
資料等により確認しているものの、B がそれを交換のために取得したかどうかについては
判定することができない。A の交換は、Q 宅地を B が交換のために取得したと認定されて、
A の交換の特例の適用が否認されることにはならないだろうか。
回 答
2 年前に B が Q 宅地を取得した目的がその後に行う交換のためであったことが客観的に
明らかでない場合には、「交換のために取得したと認められるものを除く」という特例適用
除外事由をクリアーしたものとして、交換の特例を適用することができる。
検 討
交換の特例の適用要件には、①各当事者が 1 年以上所有していた固定資産であること、
②交換取得資産につき相手方が交換のために取得したと認められるものでないことが含ま
れている。上記要件のうち、①の要件は譲渡資産及び取得資産の両方に適用される。取得資
産についての「1 年以上所有」の要件は、昭和 40 年度の税制改正により追加されたもので
あり、その改正前は譲渡資産のみの要件であった。他方、取得資産に係る②の要件は、①の
改正前から存在している。
昭和 40 年度改正当時の大蔵省主税局の担当官の説明によれば、相手方所有であった取得
資産についても「1 年以上の所有要件」を追加し、これを外形基準として上記②の要件の判
定を容易にしたのがその改正の趣旨であったことが認められる(昭和 40 年版「改正税法のす
べて」大蔵財務協会 35 頁)。
● 譲渡資産が自己の事業用の試算でない場合の買換え等の特例の適用
質 問
甲は、10 年ほど前に、営んでいた大都市郊外での農業経営は、農業経営移譲年金を受給
するために甲と同居し生計を一にしている長男乙に移譲した。
甲は、この度、公共事業のために自己が所有し乙が営む農業の用に供してきた農地 1,800
㎡を買い取られ、対価補償金 7000 万円を受け取った。補償金収入で代替資産としての土地
の買換えを行う意向はなく、自己が所有する土地上に 7000 万円の建築費用を投じて貸家建
物数棟を新築したいと思っている。
甲が行う予定の貸家の新築について、租税特別措置法 33 条 1 項に規定する収用等により
資産を買い取られた場合の代替資産の取得の特例(以下「代替資産取得の特例」という。)の適
用を受けることができるか。
回 答
甲は、新築して貸家の用に供する建物を代替資産として、代替資産取得の特例を適用する
ことができる。
検 討
代替資産取得の特例の代替資産となるのは、
①個別法としての譲渡資産の種類区分ごとの「同種の資産」(措令 22④)、
②一組法としての譲渡資産の用途区分に応ずる「一組の資産」(措令 22⑤)、
③事業継続法としての譲渡資産がその譲渡人の事業用であった場合に、その者が事業用に
供するために取得する上記①②に該当する資産以外の資産である(措令 22⑥)。
甲が新築する貸家建物は、上記③の事業継続法の「事業用資産」に該当する。
なお、この場合における甲の譲渡資産は、甲の事業用に供されていたものではなく、長男乙
の事業用に供されていたものであって、甲の取得資産は、甲自身の事業用に供するものであ
る。
しかし、事業用資産の所有者と事業経営者が異なることになった場合においても、双方が
生計を一にしているときは、その譲渡資産及び買換資産のいずれもがその譲渡・買換えをし
た者の事業用資産であるとみて、この特例を適用する取扱いが定められている(措通 33-43)。
この取扱いは、特定の事業用資産の買換えの特例(措法 37①)にも、準用される(措通 37-
22)。
● 低額譲受益課税を受けないで配偶者控除の適用をする贈与税対策
質 問
丁は、このほど丙との婚姻期間が 20 年以上となったので、丙から通常の売買価額が 4600
万円と認められる自宅の土地家屋(以下「自宅不動産」という。)
全部の贈与をしてもらい、贈与税の配偶者控除 2000 万円(以下「本件控除」という。)の適用
を受けたいと考えた。
丁は、税務署の担当部門に出向いて相談したところ、自宅不動産の相続税評価額が 3,500
万円であり、丁が自宅不動産の贈与を受けて本件控除の適用をしても贈与税が 450 万円余
もかかることが判明したことから、その計画は断念した。
その後に丁の父が死亡し、丁が遺産中の預金を相続して、相続税納付後の預金額 3000 万
円が残存している。丁は、その残存預金額を原資に丙から自宅不動産を買い受けることで、
当初本件控除の適用対象財産として受贈予定であった自宅不動産を改めて取得するつもり
である。
この場合には、丁に対する贈与税の課税関係は、どのようになるのか。
回 答
丁が丙から自宅不動産を買い受ける場合は、丁に対して、自宅不動産の相続税評価額とそ
の買受価額との差額でなく、通常の取引価額 4600 万円と買受価額 3000 万円との差額に相
当する低額譲受益 1600 万円を対象に贈与税が課税される(平成元年 3 月 29 日付け個別通
達)。
しかし、丁がこの受贈益 1600 万円につき、丙から自宅不動産に係る居住用不動産に係る
居住用不動産の一部の贈与を受けたとして贈与税の申告をすればこれが認められる。
検 討
丁の本件控除の適用関係について検討してみると、相続税法 21 条の 6 第 1 項に規定する
「居住用不動産」でも「居住用不動産を取得するための金銭」でもなく、自宅不動産を低額で
譲り受けたことによる「経済的利益の享受」であるから、これが本件控除の対象財産とはな
らないと考えられる。
しかしながら、この売買では、居住用不動産に該当する自宅不動産のうち一部が売買され
残余が贈与されたと見ることができ、本件控除では居住用不動産の一部の贈与も適用する
ことが可能であるから、この自宅不動産に係る低額譲受益額 1600 万円につき居住用不動産
の一部贈与があったとして贈与税の申告書を提出すれば、本件控除を適用することができ
ることになる。
● 短期前払費用通達の運用上の留意点
質 問
同族会社である A 社は、代表取締役 B 氏の所有する不動産を借用して、事業を営んでい
る(3 月決算法人)。A 社は資金的な余裕があり、かつ、B 氏からの要望もあったため、家賃
等の支払方法を 1 年分のまとめ支払いに変更することを考えている。
法人税の短期前払費用の取扱いは、実務上浸透しているようであるが、運用上注意しなけ
ればならない点をご教示いただきたい。
回 答
短期前払費用の取扱いは、①契約に基づくものであること、②継続的に役務の提供を受け
るものであること、③1 年以内に提供を受ける役務に係るものを支払ったこと、④継続して
支払った日の属する事業年度の損金の額に算入していること、⑤収益と対応させるべき費
用でないこと、という要件が付されている(法基通 2-2-14)。
そのため、通達の運用上は、これらの要件を逸脱しないよう配慮する必要がある。
検 討
(1) 通達運用上の留意点
②「継続的に役務の提供を受けるもの」については、等質等量のサービスが契約期間中に
継続的に提供される必要がある。本件は、不動産の提供に基づく家賃等であるため、そ
の解釈の範疇にある。なお、税理士の顧問契約等については、役務の提供度合いが等質
等量とは言えないケースが多いため、通達の適用にあたって否定的な考えが支配的で
ある。
③「1 年以内に提供を受ける役務に係るものを支払っていること」は、当年 4 月から翌年
3 月分の家賃等であるならば、当年 3 月末に支払ったものであれば許容範囲であると思
うが、当年 2 月に支払ったものについては、短期前払費用の取扱いは適用されない。つ
まり、役務の受入れの開始前に対価の支払が行われ、その支払時から 1 年を超える期
間を支払対象期間とするようなものは、通達の適用から除外されていることを読み取
らなければならない。
なお、家賃等が未払の場合には、本通達の対象とならない。
④ 本件のような同族関係者間取引であれば、一旦変更された契約内容については、むや
みに変えるべきではない。
(2) 想定しておかなければいけない留意事項
短期前払費用の取扱いの適用により、支払者側は損金の一時計上を行うことになるが、
反射的に受取側は収益として認識されるため、変更年度の課税所得の増幅効果が生じ
る。
そこで、月額から年額への変更は、単に 12 倍した金額の家賃等の取り決めではな
く金利調整分のディスカウントを配慮する、又は事実上の値上げの意味合いを整備す
る等の必要性について、併せて検討するべきである。
最後に、所有権移転外ファイナンスリース等の要件を満たすような賃貸借契約で
あった場合(定期借家契約等)には、短期前払費用の取扱いが適用できなくなる。
【総 評】
今回は会員相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見落としやす
い論点を再確認していただきたい意図からです。
特に婚姻関係 20 年以上の夫婦間における「低額譲受益課税を受けないで配偶者控除の適
用をする贈与税」に関しては、夫婦間で行う売買価額が自宅不動産の通常の売買価額 4600
万円なのか相続税評価額 3500 万円なのかを注意して行い、居住用不動産の一部贈与があっ
たとして贈与税の申告書を提出しなければなりません。
しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
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令和3年(2021年) 税理士会員向けの会員相談室に寄せられた相談事例

(税理士会員相談室)
<<法人税>>
● 完全親法人に対する不動産譲渡損益の計上繰延べ
質 問
S 社は、令和1年 5 月に株式交換によって 100%支配関係に当たる P 社のグループに入っ
た。令和2年 1 月 1 日から 5 月末日までの間に遊休資産である土地及びその上に存する建
物(以下「不動産」という。)を P 社に売却する予定である。この不動産は減損会計の対象と
なっており、平成 30 年 5 月期に評価損 87,392 千円を計上した結果、帳簿価額は 45000 千
円となっている。帳簿価額の 45000 千円で売却した場合の税務処理がどうなるか。また、
資本関係のない他社から 40,000 千円で購入の申し出がある。仮に時価と異なる価額で P 社
に売却した場合の S 社と P 社の税務処理はどうなるか。なお、不動産を譲り受けた P 社が
その後その不動産を 100%グループ内の他の会社に譲渡した場合に S 社の税務処理はどう
なるか。
回 答
本事例の S 社と P 社間は完全支配関係にあるので、いわゆるグループ法人単体課税制度の
適用対象となる。本事例の譲渡の対象となる土地及び建物のそれぞれの譲渡直前の帳簿価
額が 10,000 千円以上であれば、いずれも譲渡損益調整資産に該当し、譲渡損益の繰延べの
対象となる。時価と異なる価額で譲渡があった場合は、その差額が受贈益または寄附金とな
る。たとえ 100%グループ内であっても譲受法人である P 社が他の関係会社に譲渡した場
合は、S 社において繰延べた譲渡損益を計上し、戻し入れる処理が必要となる。
検 討
1 譲渡損益の繰延べと戻入計上
本事例であるが、帳簿価額の 45,000 千円が適正な売買価額であるとすれば、会計上の譲渡
損失は生じないが、税務上は次の仕訳が想定される。
(借 方) (貸 方)
現 金 預 金 45,000 千円 土地・建物 132,392 千円
固定資産譲渡損失 87,392 千円
(注) 土地と建物はどちらも譲渡損が生じているものとする。減損会計の適用による評価損
の金額 87,392 千円は、税務上評価損の計上が認められる事実には該当しないとして、S 社
では平成 30 年 5 月期の申告調整で加算(留保)されているので、その対象となった不動産が
平成 30 年 5 月期で譲渡される結果、同期の申告調整で減算(留保)される。
一方、減算の対象となった不動産がいずれも譲渡損益調整資産に該当すれば、グループ法人
単体課税制度のうち資産の譲渡損益の繰延べの規定(法法 61 の 13①)の適用を受けるので、
上記の仕訳で示している固定資産譲渡損失の金額 87,392 千円が「譲渡損益調整勘定」として
申告調整で加算(留保)される。
もっとも、P 社が譲り受けた不動産のうち適正に計上した建物の減価償却費に見合う一定の
金額は S 社で減算(留保)調整して戻し入れる。また、P 社が譲り受けた不動産を他に譲渡し
た場合も戻入未済の残額を S 社で減算(留保)調整して戻入処理をすることになる(法法 61
の 13②、法令 122 の 14④一、三)。
2 時価と異なる価額で譲渡された場合
資本関係のない他社が 40,000 千円の買取価額を示している事実があり、これが実勢価額と
されれば売買価額との差 5,000 千円が生じ、これが S 社側では受贈益(完全支配関係のある
グループ法人間なので法人税法第 25 条の 2 第 1 項の規定により全額益金不算入)となり、
P 社側では寄附金(完全支配関係のあるグループ法人間なので法人税法第 37 条第 2 項の規
定により全額損金不算入)となる。譲渡損益調整資産に該当する資産の譲渡であっても、資
産の譲渡であることに変わりはないので、実際に収受した金銭等の額ではなく、原則どおり
時価で譲渡があったものとして税務処理をすることになる。
● 損害賠償金の損金計上時期
質 問
Y 社の社員が起こした不祥事により、B が損害を受けたとして雇用者責任を追及された。Y
社は事故の過失を認め損害賠償に応ずることになった。Y 社は銀行融資が 2500 万円しか受
けられないとして当期末までに 2500 万円を支払った。その後、翌期に入って賠償金額 4000
万円の合意がなされ、追加の 1500 万円は 3 年の分割払いにすることが決まった。しかし、
当期の法人税の申告期限までに「合意書」等のような正式な文書作成には至っていない。期
中に支払った 2500 万円は当期の損金の額に算入できるか。
回 答
損害賠償金の額が確定していない場合であっても、期末までに支払われた賠償金が当事者
間(Y 社と B との間)で争いがない金額と認められれば、当期の損金の額に算入される。
検 討
なお、翌期に入って当事者間の合意がなされ損害賠償金の額が 4000 万円と確定したようで
あるが、これを明らかにするために「合意書」等の文書の作成が必要となろう。本事例の残額
の 1500 万円は、たとえ分割払いがされたとしても、損害賠償金の額が当事者双方で合意さ
れ確定したときに債務が確定したとして、その確定した日の属する事業年度で全額を損金
の額に算入することが認められよう。
【総 評】
今回は会員相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見落としやすい
論点を再確認していただきたい意図からです。特に 100%支配関係に当たる P 社のグルー
プに土地建物売却後、資本関係のない他社が低い買取価額を示している事実があり、これが
実勢価額とされれば売買価額との差が生じた時は注意が必要です。この場合、100%支配関
係に入った S 社の方で法人所得の計算上、減算(全額益金不算入)し、100%支配関係に当た
る P 社の方で法人所得の計算上、加算(全額損金不算入)としなければなりません。しばらく
は会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
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令和3年(2021年) 税理士会員向けの会員相談室に寄せられた相談事例

(税理士会員相談室)
〈〈資産税〉〉
質 問
被相続人甲は、次のとおり遺言を残し、令和 2 年 5 月に死亡した。この場合、相続人及び受
遺者に対する相続税、所得税及び法人税の課税関係はどのようになるのか。
【遺言の要旨】
甲は、後記の財産を相続人及び知人 A 学校法人 B 学園に対し次のとおり遺贈する。
(財産取得者)
乙(妻・包括受遺者)・・・b地を除く全財産の 2 分の 1
丙(長男・包括受遺者)・・・a地、建物の 2 分の 1
A(知人・特定受遺者)・・・現金預金の 2 分の 1
(学)B学園(甲等との関係はない。特定受遺者)・・・b地全部
(財産内訳)
1 不動産・・a 地 400 ㎡、b地 300 ㎡、建物 200 ㎡
2 現金預金・・300 万円
なお、相続債務は、借入金 500 万円があった。
回 答
1 相続税関係
(1) 相続人乙、丙及び受遺者Aが取得した財産については、相続税が課税される。
(2) (学)B学園は、公益法人ではあるが法人にかわりにないから、原則として、相続税は
課税されない。ただし、相続税法 66 条 4 項の適用 がある場合は、相続税が課税される。
2 所得税(譲渡所得)関係
(学)B学園への遺贈については、被相続人甲に対し原則として、所得税法 59 条 1 項
の規定により所得税(譲渡所得)が課税される。ただし、措置法 40 条の適用がある場合に
は、所得税(譲渡所得)は非課税となる。
3 法人税関係
公益法人が遺贈により取得した財産については、法人税の課税は、行われない。
検 討
1 相続税関係
(1) 課税財産について
なお、事例の(学)B学園については、遺言者及びその親族等と何らの関係もないとの
ことなので、同条の適用はないと考えられる。
(2) 相続債務について
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する(民法 990 条)ことから、相続人と
同様、相続債務を承継することになる。特定受遺者は、積極財産の取得のみに止まり、
債務を承継することはない。
2 所得税(譲渡所得)関係
ただし、(学)B学園は公益法人であるから、措置法 40 条の承認要件を満たせば被相
続人甲に対する所得税は非課税となる。
(注) 仮に措置法 40 条の適用がない場合は、被相続人甲に対してみなし譲渡所得の課
税が行われるが、この場合、その所得税額は相続税の債務控除の対象となる。
3 法人税関係
(学)B学園が遺贈により取得した財産については法人税が課税されないこととなる。
質 問
被相続人甲は、次のとおり遺言を残し、令和 2 年 5 月に死亡した。この場合、相続人及び
受遺者に対する相続税、所得税及び法人税の課税関係はどのようになるのか。
【遺言の要旨】
乙、丙及び A は、後記 1、2 の財産を換価し、他の財産と合計したところで次のとお
り分配する。
(財産取得者)
乙(長男・包括受遺者)には、5 分の 2
丙(次男・包括受遺者には、5 分の 2
A(知人・特定受遺者)には、5 分の 1
(財産内訳)
1 不動産・・・宅地 300 ㎡、建物 200 ㎡
2 上場株式・・・B 社株式、10,000 株
3 現金預金・・・5,000 万円
なお、相続人は、乙、丙のみであり、財産の換価及びその換価処分の代金の分配は、
遺言どおり行われた。
また、遺言により上記 1,2 の財産の換価が遺言執行者により行われた場合には、課税
関係が異なるか。
回 答
1 相続税関係
相続人乙、丙及び受遺者Aが取得した換価前の財産について、相続税が課税される。
換価前の財産の相続税評価額による。
2 所得税(譲渡所得)関係
不動産及び株式の換価処分に係る譲渡所得は、乙、丙及び A に対して分配された価
額の割合に応じて課税される。
検 討
1 相続税について
(2) 法律面からの検討
② 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することから、換価処分等に関しては
相続人と同一の法律効果が包括受遺者に帰属し、相続税、譲渡所得の課税関係も相続
人と同一になると考えられる。
③ 相続または包括遺贈があった場合、被相続人の財産(換価処分前)は 相続開始と同時
に相続人又は包括受遺者に移転する(物件的効力)と考えられる。
【総 評】
今回は会員相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見落としやす
い論点を再確認していただきたい意図からです。
特に相続における包括受遺者、特定受遺者其々の立場の違いは注意が必要です。
しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
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