2016年10月01日

税理士会員向けの会員相談室に寄せられた相談事例

(税理士会員相談室)
<<資産税>>
質 問
被相続人甲は、次のとおり遺言を残し、平成27年5月に死亡した。この場合、相続人及び受遺者に対する相続税、所得税及び法人税の課税関係はどのようになるのか。
【遺言の要旨】
甲は、後記の財産を相続人及び知人A,学校法人B学園に対し次のとおり遺贈する。
(財産取得者)
乙(妻・包括受遺者)・・・b地を除く全財産の2分の1
丙(長男・包括受遺者)・・・a地、建物の2分の1
A(知人・特定受遺者)・・・現金預金の2分の1
(学)B学園(甲等との関係はない。特定受遺者)・・・b地全部
(財産内訳)
1 不動産・・a地400㎡、b地300㎡、建物200㎡
2 現金預金・・300万円
なお、相続債務は、借入金500万円があった。
回 答
1 相続税関係
(1) 相続人乙、丙及び受遺者Aが取得した財産については、相続税が課税される。
(2) (学)B学園は、公益法人ではあるが法人にかわりにないから、原則として、相続税は課税されない。ただし、相続税法66条4項の適用がある場合は、相続税が課税される。
2 所得税(譲渡所得)関係
(学)B学園への遺贈については、被相続人甲に対し原則として、所得税法
59条1項の規定により所得税(譲渡所得)が課税される。ただし、措置法40
条の適用がある場合には、所得税(譲渡所得)は非課税となる。
3 法人税関係
公益法人が遺贈により取得した財産については、法人税の課税は、行われない。
検 討
1 相続税関係
(1) 課税財産について
なお、事例の(学)B学園については、遺言者及びその親族等と何らの関係もないとのことなので、同条の適用はないと考えられる。
(2) 相続債務について
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する(民法990条)ことか
ら、相続人と同様、相続債務を承継することになる。特定受遺者は、積極
財産の取得のみに止まり、債務を承継することはない。
2 所得税(譲渡所得)関係
ただし、(学)B学園は公益法人であるから、措置法40条の承認要件を
満たせば被相続人甲に対する所得税は非課税となる。
(注) 仮に措置法40条の適用がない場合は、被相続人甲に対してみなし譲渡所得の課税が行われるが、この場合、その所得税額は相続税の債務控除の対象となる。
3 法人税関係
(学)B学園が遺贈により取得した財産については法人税が課税されないこととなる。

質 問
被相続人甲は、次のとおり遺言を残し、平成27年5月に死亡した。この場合、相続人及び受遺者に対する相続税、所得税及び法人税の課税関係はどのようになるのか。
【遺言の要旨】
乙、丙及びAは、後記1、2の財産を換価し、他の財産と合計したところで次のとおり分配する。
(財産取得者)
乙(長男・包括受遺者)には、5分の2
丙(次男・包括受遺者には、5分の2
A(知人・特定受遺者)には、5分の1
(財産内訳)
1 不動産・・・宅地300㎡、建物200㎡
2 上場株式・・・B社株式、10,000株
3 現金預金・・・5,000万円
なお、相続人は、乙、丙のみであり、財産の換価及びその換価処分の代金の分配は、遺言どおり行われた。
また、遺言により上記1,2の財産の換価が遺言執行者により行われた場合には、課税関係が異なるか。
回 答
1 相続税関係
相続人乙、丙及び受遺者Aが取得した換価前の財産について、相続税が
課税される。
換価前の財産の相続税評価額による。
2 所得税(譲渡所得)関係
不動産及び株式の換価処分に係る譲渡所得は、乙、丙及びAに対して分
配された価額の割合に応じて課税される。
検 討
1 相続税について
(2) 法律面からの検討
② 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することから、換価処分等に関しては相続人と同一の法律効果が包括受遺者に帰属し、相続税、譲渡所得の課税関係も相続人と同一になると考えられる。
③ 相続または包括遺贈があった場合、被相続人の財産(換価処分前)は
相続開始と同時に相続人又は包括受遺者に移転する(物件的効力)と考
えられる。

【総 評】
今回は会員相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見落としやすい論点を再確認していただきたい意図からです。
特に相続における包括受遺者、特定受遺者其々の立場の違いは注意が必要です。
しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
posted by 7に縁がある税理士 at 17:26| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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