2018年05月08日

「平成30年度税制改正大綱」~第一 平成30年度税制改正の基本的考え方~

第一 平成30年度税制改正の基本的考え方
 安倍内閣はこの5年間、デフレ脱却と経済再生を最重要課題として取り組んできた。
デフレ脱却と経済再生に向け、生産性向上のための設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しする観点から、賃上げ・生産性向上のための税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置を講ずる。また、中小企業の代替わりを促進するため、事業承継税制を10年間の特例措置として抜本的に拡充する。観光立国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図る観点から、観光促進のための税として国際観光旅客税(仮称)を創設するとともに、地方創生に向けて、地方拠点強化税制を見直す。
 
 以下、平成30年度税制改正の主要項目及び今後の税制改正に当たっての基本的考え方を述べる。

1 個人所得課税の見直し
(1)平成30年度税制改正における対応
平成30年度税制改正においては、以下のとおり個人所得課税の見直しを進める。
① 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
まずは、給与所得控除・公的年金等控除を10万円引き下げるとと
もに、基礎控除を同額引き上げることとする。
② 給与所得控除の見直し
平成30年度税制改正においても、給与収入が850万円を超える場
合の給与所得控除額を195万円(①の見直しによる10万円引下げ分
を含む。)に引き下げる。ただし、子育てや介護に対して配慮する
観点から、22歳以下の扶養親族が同一生計内にいる者や特別障害
者控除の対象となる扶養親族等が同一生計内にいるものについて
は、負担増が生じないよう措置を講ずる。
③ 公的年金等控除の見直し
公的年金等控除について、公的年金等収入が1000万円を超える場
合、控除額に上限(見直し後の上限額:195.5万円(①の見直しによ
る10万円引下げ分を含む。))を設けることとする。また、公的年
金等収入以外の所得金額が1000万円を超える場合には控除額を10
万円引き下げ、2000万円を超える場合には控除額を20万円引き下
げることとする。
④ 基礎控除の見直し
基礎控除は、人的控除の中で最も基本的な控除であり、所得金額
2400万円超から逓減し、2500万円超で消失する仕組みとする。
⑤ 所得情報を活用している社会保障制度等における対応
(2) 今後の見直しに向けた基本的方向性
 
2 デフレ脱却・経済再生
(1)「生産性革命」の実現に向けた税制措置
 ① 賃上げ・生産性向上のための税制
 ② 「生産性革命」の実現に向けた中小企業の設備投資の支援
 (2) 事業承継税制の拡充
 (3)競争力の強化
  ① 事業再編の環境整備
  ② 国立大学法人等に対する評価性資産の寄附の促進
 (4) 観光立国・地方創生の実現
 (5) その他考慮すべき課題
  
3 地域社会を支える地方税財政基盤の構築
(1) 地方消費税の清算基準の抜本的な見直し
 (2) 土地に係る固定資産税の負担調整措置
 (3) 都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
    特に偏在度の高い地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について、消費税率10%段階において地方法人特別税・譲与税が廃止され法人事業税に復元されること等も踏まえて検討し、平成31年度税制改正において結論を得る。

4 森林吸収源対策に係る地方財源の確保

5 経済活動の国際化への対応
  
6 円滑・適正な納税のための環境整備

7 その他
(1) たばこ税の見直し
税率の引上げに当たっては、3回に分けて段階的に実施する。
また、近年急速に市場が拡大している加熱式たばこについて、
その製品特性を踏まえた課税方式への見直しを行う。
(2) 郵政事業のユニバーサルサービスの安定的確保

第二 平成30年度税制改正の具体的内容

一 個人所得課税
1 個人所得課税の見直し
(1) 給与所得控除等
(国税・地方税)
① 給与所得控除について、次の見直しを行う。
イ 控除額を一律10万円引き下げる。
 ロ 給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額を850
万円、その上限額を195万円に引き下げる。
② 上記①の見直しの結果、給与所得控除額は次のとおりとなる。
    給与等の収入金額      給与所得控除額
 162.5万円以下        55万円
 162.5万円超180万円以下   その収入金額×40%-10万円
 180万円超360万円以下    その収入金額×30%+8万円
 360万円超660万円以下    その収入金額×20%+44万円
 660万円超850万円以下    その収入金額×10%+110万円
 850万円超          195万円
③ 特定支出控除について、次の見直しを行う。
    イ 特定支出の範囲に、職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必
要と認められるものを加える。
ロ 特定支出の範囲に含まれている単身赴任者の帰宅旅費につ
いて、1月に4往復を超えた旅行に係る帰宅旅費を対象外とす
る制限を撤廃するとともに、帰宅のために通常要する自動車
を使用することにより支出する燃料費及び有料道路の料金の
額を加える。
④  上記①の見直しに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表等について所要の措置を講ずる。
(2) 公的年金等控除
(国税・地方税)
(3) 基礎控除
(国 税)
② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
   イ 合計所得金額が2400万円以下である個人 48万円
   ロ 合計所得金額が2400万円を超え2450万円以下である個人  
                        32万円
   ハ 合計所得金額が2450万円を超え2500万円以下である個人
                         16万円
 (地方税)
  ② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
   イ 前年の合計所得金額が2400万円以下である所得割の納税義務者 43万円
   ロ 前年の合計所得金額が2400万円を超え2450万円以下である所得
                          割の納税義務者  
                                  29万円
   ハ 前年の合計所得金額が2450万円を超え2500万円以下である所得
                          割の納税義務者  
                                   15万円

(4) 所得金額調整控除
(国税・地方税)
①  その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、特別障
害者に該当するもの又は年齢23歳未満の扶養親族を有するもの若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する者の総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1000万円を超える場合には、1000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、給与所得の金額から控除する。
(5) 青色申告特別控除
(国税・地方税)
①  取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除の控除額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
②  上記①にかかわらず、上記①の取引を正規の簿記の原則に従って記録している者であって、次に掲げる要件のいずれかを満たすものに係る青色申告特別控除の控除額を65万円とする。
イ その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電
子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等
の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備付
け及び保存を行っていること。
    ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算
書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)
を使用して行うこと。
(6) 上記(1)から(5)までの見直しに伴う所要の措置
(国 税)
①  同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を48万円以下(現行:38万円以下)に引き上げる。 
② 源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件を95万円以下(現行:85万円以下)に引き上げる。
③ 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件を48万円超133万円以下(現行:38万円超123万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引き上げる。
④  勤労学生の合計所得金額要件を75万円以下(現行:65万円以下)に引き上げる。
⑤  家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
⑥  非居住者の公的年金等について、分離課税の対象となる金額等の算定における控除額計算の基礎となる額を、65歳未満の者については5万円(現行:6万円)に、65歳以上の者については9万5千円(現行:10万円)に、それぞれ引き下げる。
⑦  その他所要の措置を講ずる。
 (地方税)
①  同一生計配偶者及び扶養親族の前年の合計所得金額要件を48万円以下(現行:38万円以下)に引き上げる。
②  配偶者特別控除の対象となる配偶者の前年の合計所得金額要件を48万円超133万円以下(現行:38万円超123万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の前年の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引き上げる。
③  勤労学生の前年の合計所得金額要件を75万円以下(現行:65万円以下)に引き上げる。
④  障害者、未成年者、寡婦及び寡夫に対する個人住民税の非課税措置の前年の合計所得金額要件を135万円以下(現行:125万円以下)に引き上げる。
⑤  個人住民税均等割の非課税基準を、35万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に21万円を加えた金額)とする。
 また、個人住民税所得割について、前年の所得の金額が35万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に32万円を加えた金額)以下の者を非課税とする。
⑥  家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
⑦  その他の所要の措置を講ずる。
(注1) 上記1の改正は、平成32年分以後の所得税及び平成33年度分
以後の個人住民税について適用する。
 (注2) 平成32年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳の備付けを開
始する日に、これらの帳簿の電磁的記録による備付け及び保存
に係る承認を受けていない場合において、同年中の日であって
その承認を受けてこれらの帳簿の電磁的記録による備付けを開
始する日から同年12月31日までの間におけるこれらの帳簿の電
磁的記録による備付け及び保存を行っているときは、同年分の
65万円の青色申告特別控除の適用における上記(5)②イの要件を
満たすこととする等の所要の措置を講ずる。
2 金融・証券税制
3 土地・住宅税制
4 森林吸収源対策に係る地方財源の確保
5 租税特別措置等
6 その他


   【総  評】
 今回は平成30年度税制改正大綱に関して、検証していきました。
特に目新しく感じたのは、所得課税では給与所得控除・公的年金等控除・基礎控
除の見直し、消費課税ではたばこ税の見直しが目に付きました。
posted by 7に縁がある税理士 at 01:20| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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