2019年05月29日

「平成 31 年度税制改正大綱」~第二 平成 31 年度税制改正の具体的内容 ~

第二 平成 31 年度税制改正の具体的内容

二 資産課税
1 個人事業者の事業用資産にかかる納税猶予制度の創設等
(1) 個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度の創設
① 概要 認定相続人が、平成 31 年 1 月 1 日から平成 40 年 12 月 31 日までの間に、相続 等により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条 件に、その認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事 業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を猶予する。
(注 1) 上記の「認定相続人」とは、承継計画に記載された後継者であって、中小 企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による認定を受けた 者をいう。
(注 2) 上記の「特定事業用資産」とは、被相続人の事業(不動産貸付事業等を除く。 以下同じ。)の用に供されていた土地(面積 400 ㎡までの部分に限る。)、建 物(床面積 800 ㎡までの部分に限る。 )及び建物以外の減価償却資産(固定資 産税又は営業用として自動車税若しくは軽自動車税の課税対象となってい るものその他これらに準ずるものに限る。)で青色申告書に添付される貸借 対照表に計上されているものをいう。
(注 3) 上記の「承継計画」とは、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受け て作成された特定事業用資産の承継前後の経営見通し等が記載された計画 であって、平成 31 年 4 月 1 日から平成 36 年 3 月 31 日までの間に都道府 県に提出されたものをいう。
② 納税猶予額の計算 猶予税額の計算方法は、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例と同様とする。
③ 納税猶予の免除 イ 全額免除 次の場合には、猶予税額の全額を免除する。
(イ) 認定相続人が、その死亡の時まで、特定事業用資産を保有し、事業を継続した場合
(ロ) 認定相続人が一定の身体障害等に該当した場合 (ハ) 認定相続人について破産手続開始の決定があった場合
(ニ) 相続税の申告期限から 5 年経過後に、次の後継者へ特定事業用資産を贈与し、 その後継者がその特定事業用資産について贈与税の納税猶予制度(後述)の適用を 受ける場合 ロ 一部免除 次の場合には、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例に準じ て、猶予税額の一部を免除する。
 (イ) 同族関係者以外の者への特定事業用資産を一括して譲渡する場合
 (ロ) 民事再生計画の認可決定等があった場合
  (ハ) 経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特定事業用資産 の一括譲渡又は特定事業用資産に係る事業の廃止をするとき (注 4) 上記の「経営環境の変化を示す一定の要件」は、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例に準じた要件とする。
なお、上記イ(ハ)又はロの場合には、過去 5 年間に認定相続人の青色事業専従者に 支払われた給与等で必要経費として認められない額は免除しない。
④ 猶予税額の納付
 イ 認定相続人が、特定事業用資産に係る事業を廃止した場合等には、猶予税額の全額を納付する。
 ロ 認定相続人が、特定事業用資産の譲渡等をした場合には、その譲渡等をした部分に対応する猶予税額を納付する。
⑤ 利子税の納付 上記④により、猶予税額の全部又は一部を納付する場合には、その納付税額に ついて相続税の法定申告期限からの利子税(年  
 3.6%)(利子税の特例(貸出約定平均 利率の年平均が 0.6%の場合)を適用した場合には、年 0.7%)を併せて納付する
⑥ その他
 イ 被相続人は相続開始前において、認定相続人は相続開始後において、それ ぞれ青色申告の承認を受けていなければならない。  
 ロ 認定相続人は、相続税の申告期限から 3 年毎に継続届出書を税務署長に提 出しなければならない。
ハ 認定相続人が、相続税の申告期限から 5 年経過後に特定事業用資産を現物 出資し、会社を設立した場合には、当該認定相続人が当該会社
  の株式等を保有 していることその他一定の要件を満たすときは、納税猶予を継続する。
 二 被相続人に債務がある場合には特定事業用資産の価額から当該債務の額(明 らかに事業用でない債務の額を除く。)を控除した額を猶予税額
  の計算の基礎 とする、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度における資産管理会 社要件を踏まえた要件を設定する等の租税回避行
  為を防止する措置を講ずる。
ホ この納税猶予の適用を受ける場合には、特定事業用宅地等について小規模 宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受ける
  ことができ ない。
 ヘ その他非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例に準ずる措置 のほか所要の措置を講ずる。
(2) 個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度の創設
 ① 認定受贈者(18 歳(平成 34 年 3 月 31 日までの贈与については、20 歳)以上である者に限る。以下同じ。 )が、平成 31 年 1 月 1 日から平成
  40 年 12 時月 31 日 までの間に、贈与により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定受贈
  者が納付すべき贈与税額のうち、贈与に より取得した特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の納税を猶予する。
 ② 認定受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人以外のものであっても、そ の贈与者がその年 1 月 1日において 60 歳以上である場合に
  は、相続時精算課 税の適用を受けることができる。 ③ 猶予税額の納付、免除等については、相続税の納税猶予制度と同様とする。 ④ 贈与
  者の死亡時には、特定事業用資産(既に納付した猶予税額に対応する 部分を除く。 )をその贈与者から相続等により取得したものとみなし、
  贈与時の 時価により他の相続財産と合算して相続税を計算する。その際、都道府県の確 認を受けた場合には、相続税の納税猶予の適用を受
  けることができる。
(注) 上記(1)及び(2)の改正は、平成 31 年 1 月 1 日以後に相続等又は贈与により取得 する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(3) 特定事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 の見直し 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算
 の特例について、特定事業用宅 地等の範囲から、相続開始前 3 年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上 で事業の用に供されてい
 る減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の 15%以上である場合を除く。)を除外する。
(注) 上記の改正は、平成 31 年 4 月 1 日以後に相続等により取得する財産に係る相 続税について適用する。ただし、同日前から事業の用に供さ
 れている宅地等については、適用しない。
2 教育資金の一括贈与非課税措置の見直し
3 結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し
4 租税特別措置等
5 その他
(国 税)
(1) 相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢を 18 歳未満(現行:20 歳 未満)に引き下げる。
(2) 次に掲げる制度における受贈者の年齢要件を 18 歳以上(現行:20 歳以上)に 引き下げる。
① 相続時精算課税制度
② 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例
③ 相続時精算課税適用者の特例
④ 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度(特例制度についても同様と する。)(再掲)
(注) 上記(1)及び(2)の改正は、平成 34 年 4 月 1 日以後に相続若しくは遺贈又は 贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

三 法人課税
1 イノベーション促進のための研究開発税制の見直し
2 中堅・中小・小規模事業者の支援
(国 税)
(1) 中小企業等の法人税の軽減税率の特例の適用期限を 2 年延長する。
3 地方創生の推進
4 頻発する災害への対応
5 都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
(1) 法人事業税(所得割及び収入割に限る。)の税率の改正 法人事業税の標準税率を次のとおりとし、平成 31 年 10 月 1 日以後に開始する事業 年度から適用する。
② 資本金 1 億円以下の普通法人等の所得割の標準税率            現 行 改正案
                         年 400 万円以下の所得      5% 3.5%
                         年 400 万円超年 800 万円以下の所得 7.3% 5.3%
                         年 800 万円超の所得       9.6% 7%
(注 3) 上記の「現行」とは、平成 31 年 10 月以降に適用することとされている税率 に関する規定である。
(2) 特別法人事業税(仮称)の創設
① 特別法人事業税(仮称)の基本的な仕組み
イ 納税義務者等 特別法人事業税(仮称)は、法人事業税(所得割又は収入割)の納税義務者に対し て課する国税とする。
ロ 課税標準  法人事業税額(標準税率により計算した所得割額又は収入割額とする。)
ハ 税率
 (イ) 付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額に 260% よって法人事業税を課税される法人の所得割額に 対する税率
 (ロ) 所得割額によって法人事業税を課税される普通法 37% 人等の所得割額に対する税率
 (ハ) 所得割額によって法人事業税を課税される特別法 34.5% 人の所得割額に対する税率
 (二) 収入割額によって法人事業税を課税される法人の 30% 収入割額に対する税率
二 申告納付 特別法人事業税(仮称)の申告納付は、都道府県に対して、法人事業税と併せて行 うものとする。
ホ 賦課徴収 特別法人事業税(仮称)の賦課徴収は、都道府県において、法人事業税と併せて行 うものとする。
ヘ 国への払込み 都道府県は、特別法人事業税(仮称)として納付された額を国の交付税及び譲与税 配当金特別会計に払い込むものとする。
② 適用期日 特別法人事業税(仮称)は、平成 31 年 10 月 1 日以後に開始する事業年度から適 用する。
(2) 特別法人事業譲与税(仮称)の創設
(3) その他 6 円滑・適正な納税のための環境整備 7 その他の租税特別措置
8 その他


【総 評】 今回は平成 31 年度税制改正大綱に関して、検証していきました。 特に目新しく感じた のは、資産課税において、個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度の創設、法 人課税において、法人事業税(所得割及び収入割に限る。 )の税率の改正、特別法人事業税(仮 称)の創設が目に付きました。
posted by 7に縁がある税理士 at 13:08| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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