2020年08月02日

令和2年(2020年) 税務相談室に寄せられた相談事例

■相談事例Q&A■

 <<法人税>>
  リース資産の消費税の仕入税額控除の時期
【質問】
 6 月決算法人の中小企業Aですが、令和1年6月にリース資産の引き渡しを受け6月分リース料を支払いました。事業の用に供したのは7月(翌期)です。
消費税の仕入税額控除は事業の用に供した翌期に行うのでしょうか。
【回答】
原則として、当該資産の引き渡しを受けた事業年度にその全額を仕入控除することに
なります。
なお、中小企業の特例として、リース賃料を賃借料処理している場合には、消費税の
仕入税額控除はリース賃料を支払うべき日の属する事業年度で分割控除することも
認められています。

リース資産の減価償却費の計上時期
【質問】
6月決算法人の中小企業Aですが、リース期間定額法で償却費を計上する場合と、リース賃料を償却費とする場合の税務上の処理はどうなりますか。
【回答】
リース期間定額法で償却費を計上する場合には、当期においては未だ事業の用に供し
ていませんので減価償却費の計上はできません。当期に支払ったリース賃料を損金処理すると、その額は償却超過額となります。
ただし大会社等はリース賃料の総額が300万円を超える場合は、リース会計基準により賃借料処理は認められていません。

リース資産の据付費の取り扱い
【質問】
機械をリースして、その据付費は別に支払いました。この据付費はリース資産の取
得費となるのでしょうか。それとも繰延資産になるのでしょうか。
【回答】
1 機械のリースが税務上のリース取引に該当する場合
据付費はリース資産の取得費となります。
据付費部分について一括損金計上したときは償却費として損金経理したものとされ、償却超過額となります。
2 機械のリースが税務上のリース取引に該当しない場合
リース資産の据付費は、資産を貸借するための権利金等に該当し、繰延資産として扱うことになります。

<<所得税>>
開業前の借入金の利子の取り扱い
【質問】
個人の医者が、病院を開業するに当たって土地建物を取得します。この土地と建物の購入資金は、ほとんど借入金です。開業前の借入金利子を「開業費」として繰延資産に計上することは可能ですか。
【回答】
開業前の固定資産取得のための借入金の利子等は当該固定資産の取得価格に算入します。また、建物の減価償却は、竣工した時からではなく、医院としての事業開始時より行うこととなります。

相続人全員が相続放棄した場合の準確定申告
【質問】
相続人全員が相続放棄した場合、誰が準確定申告をしなければならないのですか。それとも相続財産法人の残余財産はいずれ国庫に帰属することから申告しなくてもよいのですか。
【回答】
所得税法上、相続人には包括受遺者も含むものとされているため、たとえ相続人がいない場合でも包括受遺者がいれば、そのものが確定申告書を提出することとなります。
民法上の相続人も包括受遺者もいない場合には、相続財産は、「相続財産法人」となり、選任された相続財産法人の管理人が相続財産の管理を行いますが、この相続財産法人に関しては所得税法上何ら規定がありません。納付義務の履行については、申告納税方式を原則とする所得税について、相続財産法人が準確定申告する義務もあることになります。
その場合の申告期限については、管理人が確定した日(家庭裁判所から管理人に通知された日)の翌日から4カ月を経過した日の前日までに行うこととなると思われます。
国庫への帰属よりも国税の納税義務の履行が先順位となります。

賃貸人が支払った立退料
【質問】
不動産の賃貸を行っている個人ですが、この賃貸している土地、建物を譲渡することとなり、入居者を立ち退かせるために立退料を支払いました。支払った立退料は不動産所得の必要経費として控除してよいでしょうか。
【回答】
1 建物の譲渡に際し支払う立退料・・・譲渡費用
2 土地を譲渡するために建物を取り壊し、その取り壊しに際し支払う立退料・・・土地の譲渡費用
3 賃貸中の建物の貸借人に支払う立退料 1,2以外の不動産所得の基因となっていた建物の貸借人に支払うもの・・・不動産所得の必要経費

<<相続税>>
相続時精算課税制度による贈与と相続税の申告義務
【質問】
私は、A資産の贈与を受けた時、相続時精算課税によって申告しました。今般その贈与者がなくなりました。遺産総額は基礎控除額未満です。相続税の申告は必要ですか。
 【回答】
相続時精算課税の贈与税額があれば還付申告ができます。

指定受取人以外の者が死亡保険金を受け取った場合
【質問】
保険金の保険契約者で保険料を負担していた父親が死亡しました。保険契約上の受取人は息子(19歳)ですが、実際は母親が受け取っています。母親を保険金受取人として申告すれば、「配偶者の税額軽減」で相続税額はゼロとなりますがそれでよいですか。
【回答】
母親が受取人であるとして、「配偶者の税額軽減」を適用することは難しいでしょう。

相続税の延納申請の承継手続
【質問】
被相続人に引き続いて申告期限内に相続人(長男)が死亡しました。相続税の延納申請の承継手続きをしたいのですが、どのような書式になります か。
【回答】
相続人の相続人は国税通則法の規定により、相続人の納税義務など税法上の地位を継承します。 相続人(長男)の相続税申告書の第1表の付表 1(納税義務等の承継に係る明細書)により承継する延納金額を記載し、延納申請をすればよいものと考 えます。

遺産分割のやり直しと相続税申告の要否
【質問】
13年前に亡くなった母の遺産である不動産について、単独名義の方が管理上便利であるとの説明を受け、すべて弟(四男)の名義に変更しました。 我々兄弟3人(長男、次男、三男)は、母の遺産の全部を弟が相続することを認めたわけではありませんでした。相続をやり直すことは可能ですか。 相続税に時効はありますか。
【回答】
相続税には更正決定の除斥期間(いわゆる課税の時効)がありますので、13年も以前の相続税については今になって弟さんに課税されることはありません。
ただし、遺産分割のやり直しについては、贈与税が課税になることがありますのでご注意ください。

生命保険契約に関する権利の評価
【質問】
亡くなった父が契約者(保険料負担者)で、私を被保険者とする生命保険を契約していました。その生命保険契約の評価について、保険会社に照会したところ剰余金の分配等も含まれていました。これも加えて相続財産とするのでしょうか。
【回答】
生命保険契約に関する権利の計上には、剰余金の分配も含めることとされています。

空屋にしていた土地家屋の小規模宅地の特例の適用の可否
【質問】
父は娘夫婦の建てた二所帯住宅に平成20年から住んでいましたが、平成21年3月に死亡しました。父が平成19年まで住んでいた父の土地家屋は空き家になっていました。相続税の計算上、父の土地は小規模宅地の特例により50%減額ができますか。
【回答】
父の土地家屋は相続の開始の「直前」において父が居住していないので、特例による50%減額の適用はできないと思われます。

生計を一にする親族等がいない場合の小規模宅地の特例
【質問】
相続人の中に配偶者や生計を一にする居住親族がいない場合、自己の土地 家屋を所有していないものが相続した時は小規模宅地の特例の適用が可能ですか。
【回答】
その相続人が、相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有にかかる家屋に居住したことがなく、かつ、相続開始時から申告期限まで引き続きその家屋を所有していれば、特定居住用宅地としての特例適用は可能です。

期限後申告をした場合の小規模宅地の特例
【質問】
期限後申告でも、遺産分割が整っていれば、小規模宅地の特例を受けられますか。
【回答】
相続人についての規定にかなっていれば、小規模宅地の特例を受ける旨を記載した計算明細書及び、省令で定める書類(戸籍謄本・遺言書の写し・遺産分割協議書の写し・住民票の写し・戸籍の付表の写し・相続開始前3年以内に居住していた家屋がその者又はその者の配偶者のものでないこと が分かる資料等)の添付があれば可能です。

夫婦間での現金の贈与
【質問】
妻が夫から2000万円の現金贈与を受け、そのまま何もしないで、無税になることがあるのでしょうか。
【回答】
贈与税の配偶者控除額は2000万円ですが、婚姻期間が20年以上であること、居住用不動産の取得とその家屋に居住すること、申告書を提出することが要件です。
相続時精算課税制度では配偶者は受贈者の範囲から除外されています。贈与税の基礎控除額は110万円ですから、現金の贈与を受け手続きもしないで無税になることはありません。

離婚による財産分与の限度額
【質問】
離婚により妻が夫から財産分与として居宅(一般的な規模)を取得しましたが、贈与税が課税されない財産分与の限度額はあるのでしょうか。
【回答】
財産分与額について、特に定められた限度額はありません。


【総  評】
今回は税務相談室に寄せられた相談事例について取り上げたのは、意外に見落としやすい論点を再確認していただきたい意図からです。
特に相続における小規模宅地の特例、贈与等は注意が必要です。
しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
posted by 7に縁がある税理士 at 00:01
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