2018年05月08日

「平成30年度税制改正大綱」~第一 平成30年度税制改正の基本的考え方~

第一 平成30年度税制改正の基本的考え方
 安倍内閣はこの5年間、デフレ脱却と経済再生を最重要課題として取り組んできた。
デフレ脱却と経済再生に向け、生産性向上のための設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しする観点から、賃上げ・生産性向上のための税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置を講ずる。また、中小企業の代替わりを促進するため、事業承継税制を10年間の特例措置として抜本的に拡充する。観光立国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図る観点から、観光促進のための税として国際観光旅客税(仮称)を創設するとともに、地方創生に向けて、地方拠点強化税制を見直す。
 
 以下、平成30年度税制改正の主要項目及び今後の税制改正に当たっての基本的考え方を述べる。

1 個人所得課税の見直し
(1)平成30年度税制改正における対応
平成30年度税制改正においては、以下のとおり個人所得課税の見直しを進める。
① 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
まずは、給与所得控除・公的年金等控除を10万円引き下げるとと
もに、基礎控除を同額引き上げることとする。
② 給与所得控除の見直し
平成30年度税制改正においても、給与収入が850万円を超える場
合の給与所得控除額を195万円(①の見直しによる10万円引下げ分
を含む。)に引き下げる。ただし、子育てや介護に対して配慮する
観点から、22歳以下の扶養親族が同一生計内にいる者や特別障害
者控除の対象となる扶養親族等が同一生計内にいるものについて
は、負担増が生じないよう措置を講ずる。
③ 公的年金等控除の見直し
公的年金等控除について、公的年金等収入が1000万円を超える場
合、控除額に上限(見直し後の上限額:195.5万円(①の見直しによ
る10万円引下げ分を含む。))を設けることとする。また、公的年
金等収入以外の所得金額が1000万円を超える場合には控除額を10
万円引き下げ、2000万円を超える場合には控除額を20万円引き下
げることとする。
④ 基礎控除の見直し
基礎控除は、人的控除の中で最も基本的な控除であり、所得金額
2400万円超から逓減し、2500万円超で消失する仕組みとする。
⑤ 所得情報を活用している社会保障制度等における対応
(2) 今後の見直しに向けた基本的方向性
 
2 デフレ脱却・経済再生
(1)「生産性革命」の実現に向けた税制措置
 ① 賃上げ・生産性向上のための税制
 ② 「生産性革命」の実現に向けた中小企業の設備投資の支援
 (2) 事業承継税制の拡充
 (3)競争力の強化
  ① 事業再編の環境整備
  ② 国立大学法人等に対する評価性資産の寄附の促進
 (4) 観光立国・地方創生の実現
 (5) その他考慮すべき課題
  
3 地域社会を支える地方税財政基盤の構築
(1) 地方消費税の清算基準の抜本的な見直し
 (2) 土地に係る固定資産税の負担調整措置
 (3) 都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
    特に偏在度の高い地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について、消費税率10%段階において地方法人特別税・譲与税が廃止され法人事業税に復元されること等も踏まえて検討し、平成31年度税制改正において結論を得る。

4 森林吸収源対策に係る地方財源の確保

5 経済活動の国際化への対応
  
6 円滑・適正な納税のための環境整備

7 その他
(1) たばこ税の見直し
税率の引上げに当たっては、3回に分けて段階的に実施する。
また、近年急速に市場が拡大している加熱式たばこについて、
その製品特性を踏まえた課税方式への見直しを行う。
(2) 郵政事業のユニバーサルサービスの安定的確保

第二 平成30年度税制改正の具体的内容

一 個人所得課税
1 個人所得課税の見直し
(1) 給与所得控除等
(国税・地方税)
① 給与所得控除について、次の見直しを行う。
イ 控除額を一律10万円引き下げる。
 ロ 給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額を850
万円、その上限額を195万円に引き下げる。
② 上記①の見直しの結果、給与所得控除額は次のとおりとなる。
    給与等の収入金額      給与所得控除額
 162.5万円以下        55万円
 162.5万円超180万円以下   その収入金額×40%-10万円
 180万円超360万円以下    その収入金額×30%+8万円
 360万円超660万円以下    その収入金額×20%+44万円
 660万円超850万円以下    その収入金額×10%+110万円
 850万円超          195万円
③ 特定支出控除について、次の見直しを行う。
    イ 特定支出の範囲に、職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必
要と認められるものを加える。
ロ 特定支出の範囲に含まれている単身赴任者の帰宅旅費につ
いて、1月に4往復を超えた旅行に係る帰宅旅費を対象外とす
る制限を撤廃するとともに、帰宅のために通常要する自動車
を使用することにより支出する燃料費及び有料道路の料金の
額を加える。
④  上記①の見直しに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表等について所要の措置を講ずる。
(2) 公的年金等控除
(国税・地方税)
(3) 基礎控除
(国 税)
② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
   イ 合計所得金額が2400万円以下である個人 48万円
   ロ 合計所得金額が2400万円を超え2450万円以下である個人  
                        32万円
   ハ 合計所得金額が2450万円を超え2500万円以下である個人
                         16万円
 (地方税)
  ② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
   イ 前年の合計所得金額が2400万円以下である所得割の納税義務者 43万円
   ロ 前年の合計所得金額が2400万円を超え2450万円以下である所得
                          割の納税義務者  
                                  29万円
   ハ 前年の合計所得金額が2450万円を超え2500万円以下である所得
                          割の納税義務者  
                                   15万円

(4) 所得金額調整控除
(国税・地方税)
①  その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、特別障
害者に該当するもの又は年齢23歳未満の扶養親族を有するもの若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する者の総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1000万円を超える場合には、1000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、給与所得の金額から控除する。
(5) 青色申告特別控除
(国税・地方税)
①  取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除の控除額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
②  上記①にかかわらず、上記①の取引を正規の簿記の原則に従って記録している者であって、次に掲げる要件のいずれかを満たすものに係る青色申告特別控除の控除額を65万円とする。
イ その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電
子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等
の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備付
け及び保存を行っていること。
    ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算
書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)
を使用して行うこと。
(6) 上記(1)から(5)までの見直しに伴う所要の措置
(国 税)
①  同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を48万円以下(現行:38万円以下)に引き上げる。 
② 源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件を95万円以下(現行:85万円以下)に引き上げる。
③ 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件を48万円超133万円以下(現行:38万円超123万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引き上げる。
④  勤労学生の合計所得金額要件を75万円以下(現行:65万円以下)に引き上げる。
⑤  家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
⑥  非居住者の公的年金等について、分離課税の対象となる金額等の算定における控除額計算の基礎となる額を、65歳未満の者については5万円(現行:6万円)に、65歳以上の者については9万5千円(現行:10万円)に、それぞれ引き下げる。
⑦  その他所要の措置を講ずる。
 (地方税)
①  同一生計配偶者及び扶養親族の前年の合計所得金額要件を48万円以下(現行:38万円以下)に引き上げる。
②  配偶者特別控除の対象となる配偶者の前年の合計所得金額要件を48万円超133万円以下(現行:38万円超123万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の前年の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引き上げる。
③  勤労学生の前年の合計所得金額要件を75万円以下(現行:65万円以下)に引き上げる。
④  障害者、未成年者、寡婦及び寡夫に対する個人住民税の非課税措置の前年の合計所得金額要件を135万円以下(現行:125万円以下)に引き上げる。
⑤  個人住民税均等割の非課税基準を、35万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に21万円を加えた金額)とする。
 また、個人住民税所得割について、前年の所得の金額が35万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に32万円を加えた金額)以下の者を非課税とする。
⑥  家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
⑦  その他の所要の措置を講ずる。
(注1) 上記1の改正は、平成32年分以後の所得税及び平成33年度分
以後の個人住民税について適用する。
 (注2) 平成32年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳の備付けを開
始する日に、これらの帳簿の電磁的記録による備付け及び保存
に係る承認を受けていない場合において、同年中の日であって
その承認を受けてこれらの帳簿の電磁的記録による備付けを開
始する日から同年12月31日までの間におけるこれらの帳簿の電
磁的記録による備付け及び保存を行っているときは、同年分の
65万円の青色申告特別控除の適用における上記(5)②イの要件を
満たすこととする等の所要の措置を講ずる。
2 金融・証券税制
3 土地・住宅税制
4 森林吸収源対策に係る地方財源の確保
5 租税特別措置等
6 その他


   【総  評】
 今回は平成30年度税制改正大綱に関して、検証していきました。
特に目新しく感じたのは、所得課税では給与所得控除・公的年金等控除・基礎控
除の見直し、消費課税ではたばこ税の見直しが目に付きました。
posted by 7に縁がある税理士 at 01:20| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2018年05月07日

「平成30年度税制改正大綱」の要約趣旨等

 「平成30年度税制改正大綱」の目次を下記に列挙し、見送られた改正項目、前
年度と同様の改正項目等が再度盛り込まれたのかを検証していきます。

        目 次

第一 平成30年度税制改正の基本的考え方・・・・・・・・・・・・1
 安倍内閣はこの5年間、デフレ脱却と経済再生を最重要課題として取り組んできた。
デフレ脱却と経済再生に向け、生産性向上のための設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しする観点から、賃上げ・生産性向上のための税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置を講ずる。また、中小企業の代替わりを促進するため、事業承継税制を10年間の特例措置として抜本的に拡充する。観光立国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図る観点から、観光促進のための税として国際観光旅客税(仮称)を創設するとともに、地方創生に向けて、地方拠点強化税制を見直す。
 
 以下、平成30年度税制改正の主要項目及び今後の税制改正に当たっての基本的考え方を述べる。

1 個人所得課税の見直し
(1)平成30年度税制改正における対応
平成30年度税制改正においては、以下のとおり個人所得課税の見直しを進める。
① 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
まずは、給与所得控除・公的年金等控除を10万円引き下げるとと
もに、基礎控除を同額引き上げることとする。
② 給与所得控除の見直し
平成30年度税制改正においても、給与収入が850万円を超える場
合の給与所得控除額を195万円(①の見直しによる10万円引下げ分
を含む。)に引き下げる。ただし、子育てや介護に対して配慮する
観点から、22歳以下の扶養親族が同一生計内にいる者や特別障害
者控除の対象となる扶養親族等が同一生計内にいるものについて
は、負担増が生じないよう措置を講ずる。
③ 公的年金等控除の見直し
公的年金等控除について、公的年金等収入が1000万円を超える場
合、控除額に上限(見直し後の上限額:195.5万円(①の見直しによ
る10万円引下げ分を含む。))を設けることとする。また、公的年
金等収入以外の所得金額が1000万円を超える場合には控除額を10
万円引き下げ、2000万円を超える場合には控除額を20万円引き下
げることとする。
④ 基礎控除の見直し
基礎控除は、人的控除の中で最も基本的な控除であり、所得金額
2400万円超から逓減し、2500万円超で消失する仕組みとする。
⑤ 所得情報を活用している社会保障制度等における対応
(2) 今後の見直しに向けた基本的方向性

 
2 デフレ脱却・経済再生
(1)「生産性革命」の実現に向けた税制措置
 ① 賃上げ・生産性向上のための税制
 ② 「生産性革命」の実現に向けた中小企業の設備投資の支援
  2020年までに官民合わせた研究開発投資を対GDP比4%以上とする
政府目標も踏まえ、研究開発税制の見直しを行う。具体的には、総
額型の控除率を試験研究費の増減に応じたものとする。
 (2) 事業承継税制の拡充
    所得拡大促進税制について、高い賃上げを行う企業への支援を強
化する。
 (3)競争力の強化
  ① 事業再編の環境整備
  ② 国立大学法人等に対する評価性資産の寄附の促進
 (4) 観光立国・地方創生の実現
 (5) その他考慮すべき課題
  
3 地域社会を支える地方税財政基盤の構築
(1) 地方消費税の清算基準の抜本的な見直し
 (2) 土地に係る固定資産税の負担調整措置
 (3) 都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
    特に偏在度の高い地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について、消費税率10%段階において地方法人特別税・譲与税が廃止され法人事業税に復元されること等も踏まえて検討し、平成31年度税制改正において結論を得る。

4 森林吸収源対策に係る地方財源の確保
(1) 国際課税に関する制度の見直し
 (2) 国外財産に対する相続税等の納税義務の範囲の見直し
 (3) 仮想通貨の消費税非課税化
   
5 経済活動の国際化への対応
  
6 円滑・適正な納税のための環境整備

7 その他
(1) たばこ税の見直し
税率の引上げに当たっては、3回に分けて段階的に実施する。
また、近年急速に市場が拡大している加熱式たばこについて、
その製品特性を踏まえた課税方式への見直しを行う。
(2) 郵政事業のユニバーサルサービスの安定的確保

第二 平成30年度税制改正の具体的内容・・・・・・・・・・・・・17

一 個人所得課税
1 個人所得課税の見直し
(1) 給与所得控除等
(国税・地方税)
(2) 公的年金等控除
(国税・地方税)
(3) 基礎控除
(国 税)
② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
  イ 合計所得金額が2400万円以下である個人 48万円
   ロ 合計所得金額が2400万円を超え2450万円以下である個人  
32万円
   ハ 合計所得金額が2450万円を超え2500万円以下である個人
                        16万円
 (地方税)
  ② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
   イ 前年の合計所得金額が2400万円以下である所得割の納税義務者 43万円
   ロ 前年の合計所得金額が2400万円を超え2450万円以下である所得
割の納税義務者  
29万円
   ハ 前年の合計所得金額が2450万円を超え2500万円以下である所得
割の納税義務者  
                         15万円

(4) 所得金額調整控除
(国税・地方税)
①  その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、特別障
害者に該当するもの又は年齢23歳未満の扶養親族を有するもの若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する者の総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1000万円を超える場合には、1000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、給与所得の金額から控除する。
(5) 青色申告特別控除
(国税・地方税)
①  取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除の控除額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
②  上記①にかかわらず、上記①の取引を正規の簿記の原則に従って記録している者であって、次に掲げる要件のいずれかを満たすものに係る青色申告特別控除の控除額を65万円とする。
イ その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電
子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等
の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備え
付け及び保存を行っていること。
    ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算
書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)
を使用して行うこと。
(6) 上記(1)から(5)までの見直しに伴う所要の措置
(国 税)
①  同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を48万円以下(現行:38万円以下)に引き上げる。 
② 源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件を95万円以下(現行:85万円以下)に引き上げる。
③ 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件を48万円超133万円以下(現行:38万円超123万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引き上げる。
④  勤労学生の合計所得金額要件を75万円以下(現行:65万円以下)に引き上げる。
⑤  家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
⑥  非居住者の公的年金等について、分離課税の対象となる金額等の算定における控除額計算の基礎となる額を、65歳未満の者については5万円(現行:6万円)に、65歳以上の者については9万5千円(現行:10万円)に、それぞれ引き下げる。
⑦  その他所要の措置を講ずる。
 (地方税)
①  同一生計配偶者及び扶養親族の前年の合計所得金額要件を48万円以下(現行:38万円以下)に引き上げる。
②  配偶者特別控除の対象となる配偶者の前年の合計所得金額要件を48万円超133万円以下(現行:38万円超123万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の前年の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引き上げる。
③  勤労学生の前年の合計所得金額要件を75万円以下(現行:65万円以下)に引き上げる。
④  障害者、未成年者、寡婦及び寡夫に対する個人住民税の非課税措置の前年の合計所得金額要件を135万円以下(現行:125万円以下)に引き上げる。
⑤  個人住民税均等割の非課税基準を、35万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に21万円を加えた金額)とする。
 また、個人住民税所得割について、前年の所得の金額が35万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に32万円を加えた金額)以下のものを非課税とする。
⑥  家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
⑦  その他の所要の措置を講ずる。
(注1) 上記1の改正は、平成32年分以後の所得税及び平成33年度分
以後の個人住民税について適用する。
 (注2) 平成32年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳の備付けを開
始する日に、これらの帳簿の電磁的記録による備付け及び保存
に係る承認を受けていない場合において、同年中の日であって
その承認を受けてこれらの帳簿の電磁的記録による備付けを開
始する日から同年12月31日までの間におけるこれらの帳簿の電
磁的記録による備付け及び保存を行っているときは、同年分の
65万円の青色申告特別控除の適用における上記(5)②イの要件を
満たすこととする等の所要の措置を講ずる。
2 金融・証券税制
3 土地・住宅税制
4 森林吸収源対策に係る地方財源の確保
5 租税特別措置等
6 その他
    
二 資産課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
1 事業承継税制の特例の創設等
2 一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し
3 土地に係る固定資産税等の負担調整措置
4 土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設
5 租税特別措置等
6 その他

三 法人課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
1 賃上げ・生産性向上のための税制
(国 税)
(4) 中小企業における所得拡大促進税制の改組
   青色申告書を提出する中小企業者等が、平成30年4月1日から平成33
年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対し
て給与等を支給する場合において、平均給与等支給額から比較平均
給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合
が1.5%以上であるときは、給与等支給増加額の15%の税額控除がで
きることとする。この場合において、次の要件を満たすときは、給
与等支給増加額の25%の税額控除ができることとする。ただし、控
除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(所得税についても同
様とする。)。
①  平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が2.5%以上であること。
②  次のいずれかの要件を満たすこと。
イ 教育訓練費の額の前期の教育訓練費の額に対する増加割合
が10%以上であること。
     ロ その中小企業者等がその事業年度終了の日までに中小企業
等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、そ
の経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたも
のとして証明がされたこと。
   (注1) 上記の「中小企業者等」とは、中小企業者又は農業協同組
合等をいう。なお、中小企業者のうち適用除外事業者に該
当するものを除く。
   (注2) 上記(1)の制度との選択適用とする。
   (注3) 上記(1)の(注1)から(注4)までは、上記においても同様と
する。


(地方税)
(1) 所得拡大促進税制の改組
①  付加価値割の所得拡大促進税制を改組し、法人が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、次の要件を満たすときは、給与等支給増加額を付加価値割の課税標準から控除できることとする。
イ 平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除
した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が3%以
上であること。
       ロ 国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上であ
ること。
②  雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度を改組し、法人が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、一定の要件を満たすときに適用できることとされる法人税の税額控除を、中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
2 競争力強化のための税制措置
3 地方創生の実現
4 税務手続の電子化等の推進
 5 その他の租税特別措置
6 その他

 四 消費課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
1 観光立国・地方創生の実現
2 たばこ税の見直し
(国税・地方税)
(1) たばこ税率の引上げ
①  

③  



 3 地方消費税の清算基準の抜本的な見直し
4 税務手続の電子化等の推進
5 租税特別措置等
6 その他

五 国際課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108
1 恒久的施設関連規定の見直し
 2 外国子会社合算税制等の見直し
 3 特定目的会社の利益の配当等に係る二重課税調整の改正
 4 その他
 
 六 納税環境整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118
 1 申告手続の電子化促進のための環境整備
2 年末調整手続の電子化(再掲)
 3 共通電子納税システム(共同収納)の導入
 4 eLTAXの安全かつ安定的な運営のための措置
 5 その他

七 関税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129
1 暫定税率の適用期限の延長等
2 個別品目の基本税率等の見直し
3 特恵関税制度の見直しに伴う基本税率の無税化等
4 金の密輸入に対する罰則の引上げ
5 その他

第三 検討事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130

1 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する
中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年
金、公的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度間のバラ
ンス、貯蓄商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に
留意するとともに、今般の公的年金等控除の見直しの考え方や年金制
度改革の方向性も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり
方を総合的に検討する。

6  医療に係る消費税のあり方については、医療保険制度における手当
のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見、特に高
額な設備投資にかかる負担が大きいとの指摘等も踏まえ、医療機関の
仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の
公平性、透明性を確保しつつ、平成31年度税制改正に際し、税制上の
抜本的な解決に向けて総合的に検討し、結論を得る。


   【総  評】
 今回は平成30年度税制改正大綱に関して、検証していきました。
平成29年度税制改正大綱は表紙1P、目次1P、本文137Pの冊子だったのが、平成30年度税制改正大綱は表紙1P、目次1P、本文132Pの冊子と前年度より若干スリムなボリュームのある内容になった印象です。
 特に目新しく感じたのは、所得課税では給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の見直し、消費課税ではたばこ税の見直しが目に付きました。

posted by 7に縁がある税理士 at 21:34| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

【平成30年度税制改正に関する建議書】

■消費税における単一税率及び請求書等保存方式の維持■
 日税連は、これまでも単一税率制度の維持を強く主張してきたが、税率の引き上げが目前に迫る中、平成30年度税制改正が軽減税率制度を撤回することのできる事実上最後の機会であると考え、建議書においては重要建議項目の最初に据えることとした。

(1)単一税率制度の維持
   軽減税率制度には次のような問題がある。
  ・区分経理等により事業者の事務負担が増加する
  ・逆進性対策として非効率であるうえに、財政が毀損し社会保障給付の抑
制が必要になる
  ・簡易課税制度が複雑な制度となる
  ・軽減税率適用に関する訴訟等が増加する
   特に、事業者の事務負担の増加は軽視できない問題である。
  例えば、国税庁は「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」
(平成29年1月改訂)及び「同(個別事例編)」(同)を公表しているが、事
業者には、こうした項目の一つ一つに適切に対応することが求められてい
るが、その一つ一つに膨大な事務負担を強いられることになる。
 こうした観点から、日税連は低所得者対策の代替案として、あらかじめ
国が一定額を入金したプリペイドカードを配付する方法や、一定額の簡素
な給付措置を提言した。プリペイドカードによる方法は、購入時にカード
をレジにかざすなどし、軽減税率対象品の場合、標準税率と軽減税率の差
に相当する消費税額がカードから引かれる仕組みである。
また、簡素な給付措置は、平成26年4月の消費税率8%への引き上げによ
る影響を緩和するため、低所得者に対する暫定的措置として導入された
「臨時福祉給付金」のような仕組みである。
 いずれの措置も、低所得者へのピンポイントの給付が可能である点にお
いて、軽減税率制度より優れているといえる。
  (2)請求書等保存方式の維持
    適格請求書等保存方式の導入は、平成35年10月からであるが、平成
31年10月からは、区分記載請求書等保存方式が導入される予定であ
る。換言すれば、もし軽減税率制度が導入されない場合であっても、現
状では適格請求書等保存方式は導入されることとなる。
適格請求書等保存方式にも、次のような問題がある。
・事業者及び税務官公署の事務に多大な影響を与える
・名目GDP600兆円に向けた成長戦略、行政手続コスト(事業者の作業時
間)20%の削減目標を掲げる国の方針に反する
   ・税務官公署においては、実調率の低下が顕著である中、さらなる負担
を強いることとなり、適正課税が脅かされる
特に事務負担の増加は、事業者だけにとどまらず、行政コストにもそ
の影響が及ぶため、日本経済への影響が懸念される。
 こうした観点から、日税連は、現行の請求書等保存方式の維持を主張
するとともに、軽減税率制度への対応として、区分経理等に関しては、
現行の請求書等保存方式に一定の記載事項を追加することを提言した。
 (3)消費税制の抜本的見直し
    適格請求書等保存方式のもう一つの問題は、免税事業者が取引から排
除される恐れがあることである。日税連は、その検討に当たっては、特
にこの「免税事業者の排除問題」への措置を講じるよう主張した。
なお、具体的な見直しの方向性として、「基準期間制度を廃止し、す
べての事業者を課税事業者として取り扱い、新たに小規模事業者に対す
る申告不要制度を創設すること」を別途項目で提言している。

■所得控除の抜本的見直し■
 
 (1)人的控除
    人的控除は、所得のうちそこまでは課税されない課税最低限を構成す
るものである。このため、人的控除は租税法における憲法25条の生存権
保障の現れであると解されている。
したがって、給与所得控除及び公的年金等控除の水準が過大であること
や、こうした所得計算上の控除が適用されない事業所得者等とのバランス
も踏まえ検討していくことが必要である。
 給与所得控除は、「勤務費用の概算経費」と「他の所得との負担調整」
からなるとされているが、他の所得との負担調整の意義や給与所得と事業
所得を明確に分ける意義は薄れているといえる。
 公的年金等への課税は、拠出時に社会保険料控除として全額控除され、
給付時に課税される仕組みとなっている。その上、給付時には公的年金等
控除が適用され、実質的に非課税に近い課税制度となっている。したがっ
て、公的年金等控除の見直しについても検討すべきである。
 以上のことより、給与所得控除や公的年金等控除の所得計算上の控除を
縮減した上で、人的控除を中心として課税最低限を確保することが適切で
ある。現行の所得の種類ごとの負担調整、すなわち所得計算上の控除を縮
減し、人的な事情による負担調整である人的控除を拡充することにより、
課税最低限を確保する税制の構築を検討すべきである。
 (2)税額控除化の検討
    現行の所得控除方式は、適用税率の高い高所得者に有利な制度であ
り、所得金額により税負担の軽減効果に差異が生じている。そこで、人的
控除などについては、【図2】に示す通り、一定の所得金額に最低税率を
乗じた金額を税額から控除する「税額控除方式」や、一定の所得金額まで
の税率をゼロとする「ゼロ税率方式」への変更を検討すべきである。

■中小法人に対する繰越欠損金控除制限及び外形標準課税の不適用■

(1) 繰越欠損金の100%控除制度の維持
中小法人は、大法人と比べ財務基盤も弱く、繰越欠損金に控除制限
を設けると、中小法人の資金繰りを圧迫することになる。また、中小
法人は、大法人と比べ業績回復には相当な期間を要する場合が多
い。したがって、中小法人に対しては現行の繰越欠損金の100%控除
制度を維持すべきである。
  (2)中小法人への外形標準課税の不適用
中小法人の雇用の確保と資金繰り悪化を防ぐためだけでなく、地方創生の観点からも、中小法人には法人事業税の外形標準課税を適用すべきでない。

■償却資産に係る固定資産税の抜本的見直し■

(1)償却資産に係る固定資産税の位置づけ 
     税収規模は約1兆6000億円であり、地方財政における安定した基
幹税の一つとなっている。
    また、平成28年度与党税制改正大綱では「償却資産に対する固定資
産税の制度は堅持する」とされている。
  (2)税制審議会の答申
平成28年度は、諮問「償却資産に係る固定資産税制度のあり方について」に対して答申があった。
答申では、
① 業種間で税負担が偏在している
② 市町村の執行体制と課税客体の補足が十分でない
③ 事業者の事務負担が煩雑である
等の問題点が指摘されている。
答申は、それらの問題点を踏まえて提言を行っており、その内容を要約したものが建議項目となっている。
(3)建議項目の概要
   ①将来的には廃止
     建議書では、国際競争力の観点からも将来的には廃止を検討すべきで
あるとしている。
②解決案の提示
・償却資産税を固定資産税とは異なる新たな税目とすること 
・賦課期日を法人の決算日とすること
・申告期限を所得税及び法人税の申告期限と一致させること
・将来的にe-TaxとeLTAXを連携又は統一することにより税額確定方式
を申告納税方式に変更すること
   ・設備投資の促進を税制で一層支援し、さらに小規模事業者の事務負担
を軽減するために、免税点を300万円(現行150万円)程度に引き上げ
ること
   ・申告業務の簡素化のため、国税の課税標準の計算方法との整合性を図
ること

■個人事業者番号の導入■

(1)現行制度の問題点
法人番号の利用により、当事者は経済的なメリットを享受することが
できる。これに対して、個人番号はその取り扱いが法令で限定されてい
るため、個人事業者等には取引の際に自由に利用できる「番号」が存在
しない。すなわち、個人事業者は、法人番号が有する経済的なメリット
を享受できない。
(2)個人事業者番号の導入 
個人事業者等について、法人番号と同様に運用上の制限が少ない「個
人事業者番号」を導入し、その付番を選択的に受けられるようにする必
要があるとしている。
この結果、法人の番号は法人番号に統一され、個人番号は個人の税・
社会保障・災害対策のみに利用され、「個人事業者番号」は個人事業者
等が経済活動をする際に広く用いられることとなり、新たな価値の創出
につながることが期待される。
 なお、消費税における適格請求書発行事業者の登録に関連して、建議
書は、法人番号及び「個人事業者番号」の活用を検討すべきであるとし
ている。


【総  評】
前回に引き続き、日本税理士会連合会が取りまとめた平成30年度税制改正に関する建議書について取り上げたのは、今年12月に提出される自民党政権下での平成30年度税制改正にどこまでこの建議書が取り込まれているかの確認の意味での意図からです。

特に同意を示したのが、下記事項です。
(1)単一税率制度の維持
   軽減税率制度には次のような問題がある。
  ・区分経理等により事業者の事務負担が増加する
  ・逆進性対策として非効率であるうえに、財政が毀損し社会保障給付の抑
制が必要になる
  ・簡易課税制度が複雑な制度となる
  ・軽減税率適用に関する訴訟等が増加する
   特に、事業者の事務負担の増加は軽視できない問題である。
  例えば、国税庁は「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」
(平成29年1月改訂)及び「同(個別事例編)」(同)を公表しているが、事
業者には、こうした項目の一つ一つに適切に対応することが求められてい
るが、その一つ一つに膨大な事務負担を強いられることになる。
 こうした観点から、日税連は低所得者対策の代替案として、あらかじめ
国が一定額を入金したプリペイドカードを配付する方法や、一定額の簡素
な給付措置を提言した。プリペイドカードによる方法は、購入時にカード
をレジにかざすなどし、軽減税率対象品の場合、標準税率と軽減税率の差
に相当する消費税額がカードから引かれる仕組みである。
また、簡素な給付措置は、平成26年4月の消費税率8%への引き上げによ
る影響を緩和するため、低所得者に対する暫定的措置として導入された
「臨時福祉給付金」のような仕組みである。
 いずれの措置も、低所得者へのピンポイントの給付が可能である点にお
いて、軽減税率制度より優れているといえる。

このまま消費税における事務負担が増えたことを理由に、弊事務所のような税理士事務所からの税理士報酬を増加させることを顧問先様等へ御理解いただくのは難しく、徒に税務リスクを同時に増加させるか、一旦期限内に申告して、5年内に更正の請求で還付申告を行うかしないと、納税者の税負担のバランスを保てなくなる恐れがあります。
いずれにも得のない改正のように映ります。

しばらくは会計税務コラム等の事務所通信をご提供していく予定ですのでご期待ください。
posted by 7に縁がある税理士 at 19:42| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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